前回は避妊手術のことについてふれたので、今回は去勢手術についてお話しようと思います
去勢手術の目標は
オスの繁殖能力を奪うため
攻撃性やスプレー行動のような問題行動の治療
である場合が多いです
猫では、去勢をすることにより喧嘩による咬傷が少なくなり間接的にFIVやFeLVの感染リスクを低下させることもできます

そして、雄性ホルモンの関与が指摘されているような、
前立腺肥大 (おしっこが出づらくなったりうんこが出にくくなったりします)
肛門周囲腺腫 (肛門の周辺に腫瘍ができる)
会陰ヘルニア (これは手術が厄介で、手術方法によってはかなりの確立で再発します)
などの症例、および精巣の腫瘍においても治療目的で去勢手術を行います。
特に潜在精巣の場合、腫瘍化する可能性が非常に高いため、発見次第なるべく早期に去勢手術を行います。
このこは12歳の未去勢のパグくん。
肛門にできものができており、そこから出血があるとのことで来院されました。
これは寝た状態で撮影しています。
上がしっぽです。
分かりづらいですが、肛門のすぐ上(尾の付け根)と、肛門の右下あたりに腫瘍ができています。
これは肛門周囲腺腫といってホルモン関連性の腫瘍。
12歳でかなり高齢ですが、出血もあるし、気にして舐めているので治療として去勢手術を行いました。
短頭種(パグやシーズのように鼻がぺっちゃんこのもの)は、気管虚脱や軟口蓋過長(のどちんこが長い)などが多く、高齢になるとさらに呼吸しづらいコが多くなり、麻酔のリスクも他の犬種に比べ高くなります。
無事に手術が終わって何よりでした。
お次は、、、
会陰ヘルニアの5歳、未去勢のコーギーくん。
肛門部位が大きく突出してるのが分かりますか?
これは、横から撮ったレントゲン写真で上がお腹側、下が肛門側です。
背骨、骨盤、尾骨がありますが、おしりが突出して(白で囲ってあるのが突出部位)しっぽが埋まっています。
これは尿道カテーテルから膀胱造影を行っているところ。
そう、正常ならお腹の中(左の方の白丸の位置)にあるはずの膀胱が、おしりのほうに変位(右の方の白丸)してしまっています。
そのため、尿閉になりおしっこが出ず、手術もやっかいなものなので大変です。
こうなってしまう前に、、、
予防に勝るのもはありません
ここで、去勢手術のタイミングのお話です。
性成熟(子供を作る能力)は、品種や個体によって差があるけれど、
犬では6~12ヶ月、猫では9ヶ月と報告されています。
だからこれより早期の去勢手術が望ましいと言われています。
以前は、早すぎる去勢は発育不良、失禁、排尿障害、免疫能の低下、行動異常、肥満を招くなど様々な合併症が生じると報告されていました。
ですが、近年では生後3ヶ月以前に去勢を行っても骨格成長などに影響はなく、ほとんど合併症も生じないと報告されています
近年、米国ではワクチン終了直後に去勢手術を行う施設が増えてきています。
このようなことから去勢手術を考えている場合は、生後6ヶ月までのなるべく早期に去勢術を行うことがすすめられています
( 個人的には、、、人気犬種のチワワやトイプードルなどは犬歯の乳歯遺残が多く、去勢や避妊手術のときに一緒に抜歯するのですが、その場合少し費用がかかるため、乳歯が生え変わっていない場合、または犬種によっては生後6ヶ月くらいまで手術を待っています。 )