あの日以来保健室には行っていなかった
もちろんあの人にも会っていない
今日は体育の授業がある
「ダルーい。平手サボろうぜ」
「バスケだからやる」
「マジかよ〜なら俺もやるか〜」
俺と愛貴は同じチームだった
愛貴にボールをパスされそのままシュートをしようとするとブロックしようとした奴とぶつかり思い切り頭を打ちつけ気を失った
気付けばベットの上だった
「んん…あれ、俺」
「気がついた？」
聞き覚えのある声がする
そこにはあの人がいた
「体育の授業で頭打って気を失っちゃったみたいだよ。それを志田君が連れてきてくれたの。ちょっとごめんね」
「えぇ///何するんすか‼︎」
「え？頭の後ろにタンコブ出来てるから見ようと思って」
「あぁ…すいません」
「ごめんね、ビックリしちゃったよね(笑)ちょっと見せてね」
そう言いながらあの人の顔が近づいてくる
「う〜んそこまで酷くなさそうだけど氷持っていく？」
「…はい、お願いします」
「あれ？もしかして熱もある？」
と言われたがこれ以上は無理と思い氷だけもらって教室に戻る
なんだこれすっごく苦しい…心臓速いし…
教室に戻ると愛貴がきた
「おい、平手大丈夫だったか？」
「うん、頭打っただけだから」
「ん？お前顔真っ赤だぞ。熱でもあんのか？」
「いや、ないと思うけどなんか胸ら辺が苦しいんだよな…」
「はは〜ん、それは大丈夫だ。そのうち治るし原因わかると思うから」
ニヤニヤしながら愛貴は自分の席に戻っていった
なんだアイツと思い俺も自分の席に戻るとぶつかった相手が謝ってきた
大丈夫と返事だけした
それよりもなぜかあの人のことが気になっていた
季節は夏
「あち〜無理〜溶けて死ぬ〜」
「愛貴うるさい。余計に暑くなるからやめろ」
今は学校の図書室で調べ物をしていた
いわば自由時間だ
この学校には扇風機はあってもクーラーはついていない
ホントに地獄だ
ふと窓の外を見るとあの人がいた
あれからというもの保健室にも行くことがなかったからあの人のことはすっかり忘れていた
歩いているあの人を見ていると前から織田がきて喋っていた
織田とは体育の先生で俺は少しだけ苦手だ
「ふ〜ん仲良さそう」
「ん？平手どうした？おっ‼︎リサちゃんだ‼︎リサちゃ〜ん」
愛貴が呼んで手を振っていた
その声にあの人が気付いた
「リサちゃんじゃなくて先生ね‼︎」
あの人は大声でそう言った後に俺に気付いて手を振ってくる
軽く会釈をしてずっと見ていた
あの人と織田はそのまま職員室に戻って行ってしまった
俺ははぁーとため息をつき元の席に戻る
「後で保健室遊びに行こうぜ」
「怪我もしてないのに行けないよ」
「真面目か(笑)リサちゃんに会いたくないのか？」
「なんでそ〜なんだよ(笑)」
「ホントに鈍感なんだなぁ自分の事に関してわ」
「え？なんのこと？」
「お前リサちゃんの事好きだろ？」
「いやいや、相手先生だぞ(笑)ないだろ(笑)」
「恋愛に職業も年齢も関係ないだろ」
いつもはヘラヘラしているくせになぜか真剣な目をしている
「な、なんだよそんなマジになって」
「後で後悔しても遅い事だってあるからな」
昔なんかあったのだろうか
でも今はまだ聞く時ではないと思いありがとうだけ告げた
俺があの人の事を好き？
可愛いとわ思うし大人だなって思うけど好きではないだろと考えていた
家までの帰り道後ろから声をかけられた
「平手君？」
誰だよと思い振り向くとあの人がいた
「こんちわっす」
「今帰り？」
「はい、先生もっすか？」
「うん、私の家この辺だからそこのスーパー寄って帰ろうかなって。平手君もこの辺なの？」
「こっから５分くらいのところです」
「じゃあ私と近いかもね」
「じゃあお先に失礼します」
俺は帰ろうとするが…
「ねぇ‼︎えっと…荷物重いから一緒に運んでくれない？」
この人俺の事荷物持ちとでも思ってんのかな？
まぁでも一人じゃ大変だよなと思い手伝う事にした
「平手君は何人で暮らしてるの？」
「一人です」
「えぇ‼︎親御さんわ⁉︎」
「海外出張行ってます」
「えぇ‼︎ご飯とかどうしてるの？」
「カップ麺かコンビニで済ましてます」
「体に悪っ‼︎」
「食べれればなんでもいいんで」
「ならさ、うちに来ない？私も一人だし一人分も二人分も作るの変わらないし」
「気を遣ってもらってありがとうございます。でもそれは悪いんでいいです」
「気を遣うとかじゃなくて…」
「なんか言いました？」
「いいじゃん、荷物運んでくれるの二回目だし家近いついでで」
「いや、でも…一応生徒と先生なんで。先生が誤解されたら大変ですし…」
「大丈夫じゃない？」
「いや、考え軽すぎですよ」
「まぁいいから寄って行ってよ」
「荷物運ぶだけなら行きます」
うんともすんとも言わず会計を済ませ先生の家まで着いて行く
「え、同じマンション」
「えぇ⁉︎そうなの⁉︎一人でこんな所に住んでるの⁉︎」
「それは先生も一緒です(笑)」
「いや〜結構家賃とか高いし、一人にしては広くない？」
「まぁそうですね。なんで先生はここにしたんですか？」
「見栄張ったかな(笑)」
あはははと笑えば先生はポケーっとしていた
「どうかしました？」
「初めて笑う顔見たなって」
「それ前に愛貴にも言われました。俺結構笑いますよ？お笑い好きですし(笑)」
「…やばい、カッコいい」
先生は何か呟いたが聞き取ることが出来なかった