平手side





次の日目を覚ませばリサは隣でまだ寝ていた






今日はつむぎちゃんが手術する日なのを思い出し私はつむぎちゃんの病室を探した







小児病棟にくればすぐにつむぎちゃんは私を見つけ出し走って駆け寄ってきた





「てちっ!!どうしたの!?」





「今日手術って言ってたから応援しに来たの」





「そうなの!?嬉しい!!少し不安になってたけどつむぎ頑張れそう!!」





「私、今日退院するの。だから帰る前につむぎちゃんに会っておきたくて」





「そっか。てち、病気治ったんだね!!よかった!!つむぎうれしい」





「つむぎちゃんが嬉しいの?(笑)」





「うん。てちが元気な事がつむぎの願いだから」





「私の願いはつむぎちゃんが元気に幼稚園行けるようになる事だよ。手術怖いと思うけど元気になる事を願ってるからね」





「ありがとう。てちも病気にならないようにちゃんとご飯食べてね。手術前にワガママ言ってもいい?」





「いいよ。私に出来ることなら」





「最後にハグして!!」





「喜んで!!」





私とつむぎちゃんは思いの丈をぶつけるように思いっきりハグをした





苦しい〜と笑いながらいうつむぎちゃんが可愛くてもう一度ギュッと抱きしめた






「てち、リサにも元気でねって言っておいてね」





「もちろん。じゃあまたね」






つむぎちゃんと別れ病室に戻ればリサが起きていた









「また勝手にどっか行って焦ったじゃん!!」





「ごめん、つむぎちゃんの所に行ってた」





「私も最後に挨拶したかった〜」





「リサにもよろしくって言ってたよ!!」





「手術上手くいくといいよね」





「きっと元気になって戻ってくるよ!!」





「そうだね。じゃあ帰る用意しよっか」





「うん」






荷物をまとめ一旦家に戻るためにタクシーに乗る





タクシーの中でnon-noの雑誌の撮影をもう一度やらせて欲しいとリサにお願いした







リサは最初はビックリしていたもののすぐに微笑んでわかった、ありがとうと言ってくれた





家に着きすぐに編集長に連絡するねとリサが言う

すぐに電話がかかってきた






「急なんだけど明日とかどうかなって、それが無理そうなら3ヶ月後にどうかなって」





「明日!!明日やる!!やらせて」





「無理してない?別に焦る必要ないよ?少しずつ体調戻してからでもいいんだよ?」





「明日がいい」





「編集長に言っておくね」








リサは私の頭をポンポンして離れたところで電話しに行った









次の日再び同じスタジオに向かう








「リサ…みんな怒ってない?」





「怒ってないよ。大丈夫だから。みんな喜んでたよ。平手から撮影したいって言ってくれたこと。だからなにも気にしなくていいんだよ。楽しもう」





「ありがとう」





「こちらこそありがとう」








スタジオへ一歩踏み出せば前と同じセット同じ顔ぶれ安心と申し訳なさが押し寄せてきた





ちゃんとやらなきゃ

次こそちゃんと





目をギュッと瞑る






ふわっと甘い香り

嗅ぎなれた匂いに気付く







横を見ればニコッと微笑むリサがいた

リサが隣にいてくれている大丈夫だ

肩をギュッと抱き寄せられる






「今日はお願いします」






私もリサに続いて頭を下げる






「お願いします」





「「お願いしまーす。」」





「早速だけどこれに着替えて〜着替え終わったらこのセットに座ってみてもらっていいかな?」





「「はーい」」







控え室で着替えをする







「non-noの人達いい人ばっかりだね」





「でしょ〜だから私撮影の日毎回楽しみなんだよね」





「この環境なら仕事でも行きたくなるね」 





「うん。よしっ!!じゃあ行こっか」





「緊張する〜(笑)」





「そうだよね!!無理になったら言ってね!!」





「ありがとう」







私達は再びスタジオに入っていく

撮影が近付くにつれて鼓動が早くなる

ドキドキが止まらない







「りっちゃん、平手ちゃんセットに入っていつもみたいに話してみて〜」





「さ、平手行こっか」





「うん」








セットに座るなりリサはモデルモードに入っていた

もう後戻りはできない

ちゃんとやらなきゃ

これ以上リサにも迷惑かけられない





色んな思いが巡り巡って私は誰の声も耳に入らなくなっていた







テンパってその場に立ち尽くしてしまっていた

セットに入って行こうにも足が動かない

不甲斐ない自分に嫌気が差し下を向く






また迷惑かけてる…

動いてよ…







自分と葛藤していると視界がぼやけてきた

泣いたら化粧が取れちゃう…








そんな事を考えていると両頬を挟まれ上を向かされる





「無理するなって言ったでしょ。誰も無理してまでこの企画進めたくないんだから」





「リサ…」







涙目な私を見てニコッと笑いリサは抱きしめてくれた






あぁ落ち着く…

リサに抱きしめられると全部が大丈夫な気がして

なんでも出来る気がしてくる








「リサ…お願いがある」





「ん?なに?」





「最初だけ抱きついて撮影してもらえないかな?それなら出来る気がする」





「無理しなくていいんだよ?」





「無理してでもこの撮影したいの。リサと」





「わかった。編集長に言ってくるね」





リサは編集長さんのところへ行き交渉してくれた

遠くでリサが両手を上げて丸を作っていた





ニコニコで帰ってくるリサ






「OKでたよ♪あとは平手の気持ち次第だね」





「ありがとう」





私は大きく深呼吸をする





「よしっ!!いける」





「お願いします」




それから今まで躊躇っていたのがウソのようにスムーズに撮影が進んだ





「平手まだ平気?」





「うん、全然大丈夫。楽しい」





「よかった」





「リサ、ホントにありがとう。なにもかもリサのおかげだよ。リサはすごい」





「平手が前を向いて進もうとしたからだよ。平手がすごいんだよ。よくここまで頑張ったね」







撮影は思ったよりも早く終わった

関係者の人に挨拶をしてリサとタクシーに乗る







「今日まで私のお家でいいよね?」






あ、そっか…1週間って約束だった…

最初はすぐ家に帰ろうとしてたのに今はまだリサと一緒にいたいと思う自分がいる事に驚いた

なんか寂しい…





「平手?」





「あ、ごめん、リサのお家でお願いします」






お家に入れば落ち着く

不思議だなぁ

最初はあんなにソワソワしてたのに






「撮影無事に終わってよかったね」





「うん。楽しかった」







少しの沈黙が出来る







「私、明日から少しずつ仕事やっていこうと思う」





「出来るの?」





「出来るって自信もっては言えないけどグループの仕事からやっていけたらなって思ってる」





「そっかそっか。嬉しい。平手が前進してくれて」





「それでその…これからもリサにそばにいて欲しいの」





「うふふ。当たり前だよ。前も言ったけどずっとそばにいるよ」





多分前の告白伝わってなかったよね

今もう1回ちゃんと言いたい





「そうじゃなくてね…私ね…リサの事好きなの…」





「うん、私も好きだよ」





「だから好きなの」





「わかってるよ(笑)」





「じゃなくて…う〜ん…」









私が前にごめんて言ったことでリサはきっとメンバーとして好きと勘違いしていると思うだから…






私はリサに近付き少し背伸びをしてキスをする





リサは驚いて目を見開いている





「こうゆう好き…」





「……えーーー!!ホント!?」




「ホントに。あの時ごめんって言ったけどホントはすごく嬉しくて私もって言いたかった。けど傷付けてばっかだしこれからも傷付けちゃうと思って離れること決めたんだけど、やっぱりリサがいないのは無理って改めて感じた」





「その言葉は嬉しい」





「だからリサがよかったらなんだけど…これからもずっと一緒にいてくれない?」





「こちらこそよろしくだよ。いくつになっても平手からは目が離せないからね(笑)」





「それでよかったらなんだけどこのまましばらく一緒に住んじゃダメかな?」





「え?いいよ。てっきり帰りたいかと思ってたから嬉しい」





「これからもお願いします」





「こちらこそよろしくね。平手に少しずつ笑顔が戻ってきてよかった」







ニコッと笑うリサを見て私も自然と笑顔になれた






これからもたくさん色んなことに悩むと思う

その度に傷付いて泣いてやるせなくなってしまうこともあるだろう

けど腐らず前を見て生きていきたい







リサに救われたこの命無駄にはしたくない

たくさん傷つけて悲しませた分これからは一緒に笑顔で過ごしていきたい







私は私のペースで生きていこう

前だけを向くことに疲れた時には振り返ってみたっていい

無理に前を向いて進むことはない







後戻りしなければ

同じ過ちを繰り返さなければ

それでいい