平手side




明日リサとの対談が決まった






正直自分が1番ビックリしている

あんなに仕事をするのが怖いと思っていたのにリサと、の言葉を聞いた瞬間やりたいと思った






1人だったらきっとやっていないだろうと思った

いや、出来ない







「平手ホントに大丈夫?」




「リサがいてくれるなら」




「私はずっといるよ。なにがあっても」






ほんとになにがあってもずっとそばにいてくれる気がして嬉しかった







その言葉に安心したのと久々の仕事モードの緊張でか私はウトウト眠くなってきた






「平手、眠い?」




「うーん」




「少し寝ようか」




「リサわ?」




「私はリビングにいるからなんかあったら呼んで?」




「…しょに」





「ん?なんて?」




「寝付くまで一緒にいて…ほしい…です」




「なんで敬語(笑)わかったよ」




「ありがとう」




「久々に笑顔見た…」




「え?そうかな?」





リサは涙ぐんでいるように見えた





「リサ、涙」




「泣いてないから。ほら早く寝な」




「はーい」





口調は強めだが優しさが滲み出ている

嬉しい







久々に色んな感情が込み上げてくる

ここ数ヶ月何をしていても楽しくない何を食べても美味しくなかった






でもリサのお家にきてからはそれが少しずつだが緩和されてきている気がする






リサのご飯が美味しくてリサの優しさ、さりげない気遣いが心地よくて




あんなに人に優しくされたり気遣われるのが重荷になっていると思っていたのに今はそれが心地よくなっているなんて








それもリサのおかげなんだよね







「リサ、ありがとう」




「なにいきなり」




「リサがいてくれなかったら私多分ここにいないと思う」





「やめて!!そう言うこと言わないで」




「ごめんね、でもホントにそう思うの。あの時公園で見つけてくれなかったらあの後私…」








話を遮るようにリサに抱きしめられる

あぁやっぱりホッとする

私は安心しきってそのまま眠りについた





「平手のバカ…わざわざ辛い事思い出さなくていいよ…」









どれだけ寝ただろう

久々に夢を見た

そこにはリサがいて両手を広げてニコッとしている

私はなんの躊躇いもなくその腕に飛び込む

リサが何かを言っているが聴き取れない

そこで私は目を覚ます







起きて隣を見ればリサも寝ていて

気付けば手が繋がれていた

私が不安を感じないようにそうしてくれていたのは一目瞭然






「リサはちゃんと休めてる?」





寝ているリサに問いかける

けどリサは爆睡していた

私も再びリサに近づき寝ようとする




本能なのかすぐに私を抱きしめるような形になるリサ





それが面白くて声を殺して笑った






カタカタ揺れてしまいそれが伝わったのかリサが起きる






「平手!?どうしたの!?大丈夫!?怖い夢でも見た!?」






あぁ私が不安になったと思っちゃったんだ…

ごめんね、リサこれじゃ全然寝られてないよね…





「ごめんね、リサが面白くて笑ってた(笑)」




「私?ヤバい顔してた?」




「違くて、私が起きてもう1回寝ようとリサに近付いたら自然と私を抱き寄せてきたから(笑)もうそれしないとって回路になってるのかなって(笑)母性本能ってやつ?(笑)それに笑えちゃって」





「そうなんだ(笑)全く気付いてないや(笑)」





「ありがとうね。リサ」





「なにあらたまって(笑)私は私が平手のそばにいたいだけだから(笑)」





リサらしい(笑)

褒められるのが苦手でたまに不器用ででも誰かが困っていれば1番にかけつけて優しい言葉をかけてくれる




だから1期も2期もメンバーはリサに相談する

その光景を私はずっと見ていた

リサは相談出来ているのかな





「リサって相談とか悩みを人にしないよね?」




「…そんな事ないよ?」




「1回も見た事ない。基本誰かとふざけ合ってるか笑ってるかフリの確認をしてるかしか見た事ないから」





「私寝ちゃえば忘れるからさ〜(笑)」





そうゆうリサに目を逸らされる










リサside





こうゆう時の平手は苦手だ




全てを見透かされているようでウソが通じない





相談したくてもそれをしている自分がダサく思えて誰にも相談を出来ない






でも相談されるのは嬉しくて頼られているんだって思うしちゃんと解決したいと思うから






私自身をそれが出来ればもっと気楽に出来るんだと思うけどそれができなくて







自分で自分を苦しめているのはわかっている







私は人に弱みを見せられない

それを見せてしまえば途端に弱くなるから

それなら自分で解決しようと決めている

強いままでいられるから








それを見透かされないように私は話を変えた







「よく寝られた?」




「うん、久々に夢を見たの。そこにはリサがいて優しく微笑んでて両手広げてて…何か言ってたんだけどそれは聴き取れなくて…」





「夢の私はきっと大丈夫だよ。私は味方だからって言ったんだと思う。私はずっとそう思ってるしそうするから」




平手を見ればうるうるしている

平手は黙って抱きついてきた




私も黙って平手を抱きしめる

人前では強くあろうとする平手

弱さを見せられない平手






どこか私に似ていて、自分だけで抱え込んで解決しようとしていつか潰れてしまうんじゃないかって放っておけない





でも時たまそれだけが理由じゃない気がしていて

でもそれは今考える事でもない気がして





今は平手を助けたいその一心






今まで見てきた笑顔とか2人で笑って泣いて

LIVEとかで目が合ったりすると楽しくて、幸せでみんなで作り上げてきた欅坂をもっと良くしたくてぶつかりあったりして






でもいつの間にかお互いがお互いに寄り添って険悪なムードもその時だけで誰がかけてもダメで誰もかけてほしくない








けどそれは無理なことで愛佳の時、ねるの時卒業を相談された時私は辞めないでなんて言えなかった









辞めて欲しくないし寂しいけど2人が悩んで葛藤している姿を見ていたから









次のステージに行っても応援してるからって模範解答なようなことしか言えなくて…










でも平手にはまだいて欲しくて近くで見守っていたいしもっともっと平手の事も知りたいし平手は卒業してしまったら音信不通になりそうで…

だからこれは私のワガママでもある






「あ、明日朝から撮影と対談になったんだけど大丈夫そう?」




「うん、大丈夫…緊張する…」




「大丈夫だよ。人も必要最低限にしてもらってるから」




「ごめんね…」




「謝るのはこっちだよ。完全じゃないのに私のワガママに付き合わせてごめんね」




「リサとならやりたいと思ったから」




「最悪対談だけやって撮影は後日とかも出来ると思うから無理せずやろうね」




「うん」