話題なので観に行ってきました(ミーハー)
これ、以前から話題だし気になってはいたんです。
夫は西島秀俊さんが大好き。
「でも時間が長いしなかなか行けない。西島さんアカデミー賞記念で観に行ってきてくれる?」
いうことで仕事帰りに行ってきました
(夫は遅番の日が多いので)
わかる、静かな映画で3時間て二の足踏むよね。
レンタルで週末観ようかとも思ったのですが、とりあえず今日の仕事帰りに観に行ってきました。
原作の村上春樹は仲のいい友達が大好き。
私もエッセイは全部、小説は半分くらい読んでいます。
結果、映画館で観て良かったです。自宅はそれなりに電話や来客があるので、よほど計画的に観ないと邪魔されずに見るのは難しい!(エンタメ系なら大丈夫だけど)
3時間は確かに長いのですが、村上春樹独特の世界観を映像で見事に表現していました。
表現しにくいのですが、登場人物の心の奥深く入り込み、いつのまにか心情が自分の心にもスライドして静かに揺さぶるようなところがそのまま映像化されていました。それが出来るのがまずすごいので、世界的に話題になるのも納得。
ネタばれしています!
あらすじ
西島秀俊さん演じる加福悠介(かふくゆうすけ)は演出家兼俳優。
妻の加福音(かふくおと・霧島れいか)は脚本家。綺麗な人です。
美男美女でお洒落で生活感のない満ち足りた夫婦だと思いきや、二人には過去、子供を病気で亡くした過去があり、埋められない空虚さを抱えていた。
だが妻・音は加福を心から愛しながらも不特定多数の男たちと関係を持っており、加福はそれを知りながらスルーしている。ある日、音から帰ってきたら話があると言われた加福が帰宅すると、音はくも膜下出血で命を落としていた。
その2年後に広島で行われる演劇祭で、加福は演出家として「ワーニャ伯父さん」を上演すべく、役者のオーディションを行う。国際色豊かなメンバーの中に、妻に憧れていた俳優・高槻耕史(たかつき・岡田将生)もいた。高槻は人気俳優ながら、スキャンダルを起こしていた。
加福の為に演劇祭側が用意した専用運転手がみさき(三浦透子)
車は自分で運転すると、最初は拒否した加福だが、彼女の運転技術を認めるようになります。寡黙なみさきもまた、自分の母について忘れられない過去を持っていた。
という感じです。
感想
淡々とした作品かと思いきや、展開に結構意外性や起伏がありました。
ロードムービーでもあるので、美しい景色と独特のテンポや表現に癒されます。
また、静かな作品ではあるけれど、個人的には難しい内容ではありませんでした。
もっと訳のわからない映画たくさんあります
(それが必ずしも悪いとか嫌いとかではない)
西島秀俊、岡田将生、霧島れいかさんなど、見栄えする俳優女優も多い。
ゴドーを待ちながら、ワーニャ伯父さんが劇中劇で使われ、大きな効果をあげています。
確かにチェーホフって一度読んだだけでも印象に残ります。
国際色豊かな出演者で日本語、英語、北京語、韓国語、手話が入り混じる前衛的な演出のワーニャ伯父さん、普段なら見たいと思わないでしょうが(普通に見たい派)、この映画を見るとちょっと見たくなるから不思議。加福の演出、癖がありすぎるんですよ笑
岡田将生の役や演技にはかなり驚かされました。上手い。
上手い人なのは知っていたけど、中盤の過去や心情を加福に告白する場面がすごかった。
また、加福がドライバーのみさきに妻の浮気を許せなかったこと、死んでしまって寂しくて仕方なかったことをラスト近くで告白する場面もすごかった。みさきも母に対する複雑な過去と思いを加福に告白する。
普通の人付き合いで、日常的な会話をほぼせず、ある時いきなり重い過去を告白する人間関係なんてないですよね。でもこの映画ではそれがよくある。
村上作品てそういうところあるけど、そんな人間関係は絶対体験したくないような、でも心のどこかで羨ましいような、奇妙な感覚に陥ります。
静かで美しい場面、非日常的な演劇の稽古の場面、国際色豊かな出演者。
ほんと上手く言えなくて申し訳ないのですが、淡々と進む場面が積み重なって、クライマックスで大きな水流となって流れ出すとでもいいましょうか。
家族や愛する人が生きている時、なかなか全ての不満は言えません。
でも、彼らが突然亡くなってしまったら、それをぶつける相手や時間が永遠に失われる。
生き残った側はそれらの感情を抱えながらも生きていかなければいけない。
ちょっと「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を思い出しました。そちらはもっと激しいか。
出演者は皆、うまいのですが岡田将生とドライバー役の三浦透子さんが印象的でした。
西島さんはもちろん素敵。
国際色豊かな出演者なのに猥雑な印象が全くなくて、終始品のある画面。
確かに長くて静かな映画なので体調の悪い時に見ると眠くなりそう。
それに村上春樹が苦手な人は辛いと思うし、家族でDVDで観るより映画館向きかもしれない(そもそも恋愛場面もあってR12)
でも全部の場面を場面、出演者の演技や場面を全く手抜きすることなく描いているので、とても印象に残る映画でもありました。
正直に言うと、これを「素晴らしい傑作!誰にでもおすすめ出来ます!」と言い切れるほど情緒のある私ではない
トム・フォードやフランソワーズ・オゾン(ものによる)はかなり好きなんですが、やっぱり最後には感受性に合う、合わないかなあ。
村上春樹が好きな人には、あの世界観の再現度がすごいので絶対にお勧めです!
広島の美しい景色に癒されました。


