フランソワ・オゾン監督の「summer of 85」を劇場で観ました。

とても美しい映画だったのでこれ以上忘れないうちに。

 

あらすじ

セーリングを楽しもうとヨットで⼀⼈沖に出た16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーブル)

突然の嵐に⾒舞われ転覆した彼を救助したのは、18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)

⼆⼈は急速に惹かれ合い、友情を超えやがて恋愛感情で結ばれる。

アレックスにとってはこれが初めての恋だった。 

互いに深く想い合う中、ダヴィドの提案で「どちらかが先に死んだら、残された⽅はその墓の上で踊る」という誓いを⽴てる⼆⼈。しかし、恋焦がれた幸せな日々は突如終わりを迎える。

監督・脚本
フランソワ・オゾン
原作
エイダン・チェンバーズ
出演者
フェリックス・ルフェーヴル、バンジャマン・ヴォワザン、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキメルヴィル・プポーイザベル・ナンティ

 

これは予告編をちょろっと見て、実は男性同士の恋愛作品だとは思わずに観に行きました。

熱い友情が女性の出現によって形が変わるのかな?と思ったら違いました。でも問題なし。

 

舞台はタイトル通り1985年代のフランス。ノルマンディー。

美しい南仏の海辺の街を舞台にした、美少年二人の激しい恋の物語でした。

オゾン監督ってそういう映画も撮るんだ、と思いましたが、なんと大好きなエイダン・チェンバーズの小説

「おれの墓で踊れ」の35年越しの念願の映画化だそうです。

 

男性同士の恋の話ですが、LGBTものではありません。

直接的な場面はほぼないので苦手な人も安心して物語にひたれるはず。

洋画好きなのでLGBTものはそれなりに見ています。傑作も多いです。

まあ、アカデミー賞狙いでそういう作品をつくるのは正直どうかと思うところもありますが・・

欧米(場所や年代などそれぞれ)にそういう差別がないと思ったら残念ながら間違い。

 

でもこの作品は鮮烈な青春もの、初恋もの、若い時なら男女ともに誰でも経験しそうな感情がキラキラと散りばめられています。そして美しい世界観でノスタルジーと甘酸っぱさを満喫出来ます。

 

オゾン監督も原作を読み返して、LGBTではなく二人の少年の美しい物語だと捉えて映画化したようです。

若い二人の激しい友情を超えた物語で、ロミオとジュリエット的な若さと未熟さを魅力的に描いています。

こういう題材を文字通り美しい物語に仕立て上げるセンスが素晴らしい。

若さ故の未熟さをここまでストレートに美しく描かれると、安心して身をゆだねることが出来ます。

 

 

ここからちょっとネタバレ。

 

 

 

 

 

実は予告編でネタバレしているんです。100分の映画の予告編でダヴィデの事故を見せるのは賛否両論ありそうですが、伝えたいのはそこじゃないという解釈で良いのかな。

 

まだ16才のアレックスは海で助けてくれたダヴィデに誘われるまま、激しい恋に落ちます。

ダヴィデは大好きな父親を亡くしており、高校をやめて父が経営していたサーフィンの店を経営しています。


ダヴィデの母は夫を亡くしたことから非常に不安定で心配性。


ダヴィデはもともとの性質と父の死からか、刹那的な面が大きいです。

アレックスはまだ16才ですから、初めての恋にのめりこみます。

美しく頼りがいのある年上のダヴィデが全世界みたいになる。


一緒にバイクで遠出したり、うるさいクラブで穏やかな「Sailing」をイヤホンでアレックスに聞かせたり。

アレックス(フェリックス・ルフェーヴル) リバー・フェニックスに似てるといわれてる。

アレックスとダヴィデ(バンジャマン・ヴォワザン)

ケイト(フィリッピーヌ・ヴェルジュ)明るくて優しい女性。可愛いラブ

 

ただ、ダヴィデはバイセクシャルでもあり、快楽主義者。

街にやってきた21才のケイトという女性にも手をだします。

到底受け入れられないアレックスは荒れて嫉妬し、ダヴィデに問いただします。

自分は1人では満足できないというダヴィデの言葉に外に飛び出すアレックスを追い、ダヴィデは事故に会う。

 

どう見てもまだ16才のアレックスを口説いて夢中にさせ、不誠実な態度を取るダヴィデが悪い。

ただ、映画を見てると美しく素直なアレックスを口説きたくなる気持ちもちょっとわかってしまう。

ダヴィデがアレックスに惹かれたのは若さと美しさはもちろん、「自分が死んだら墓の上で踊ってほしい」という言葉に怯えながらも真剣に聞いてくれる素直さ、感受性の強さ、繊細さが大きいように思えました。

 

ダヴィデと関係を持っても、アレックスの境遇に同情、協力してくれる21才の女性・ケイトが素敵。


大人になったらたいしたことない16才と18才。16才と21才くらいの年齢差が、ティーンにはすごく大きい。


その他、不安定なダヴィデの母親と、不器用ながらも温かいアレックスの両親など、短い時間で上手く描かれています。


映画の印象は一言でいうと、美しい小説を読んだかのようなノスタルジー。

この夏は、かのきれとこの映画でノスタルジックな夏気分を満喫しましたウインク

 

フワンソワ・オゾン監督は「危険なプロット」という映画で知りました。

アカデミー賞を取った韓国映画「パラサイト」に似ていると言われてますが、危険なプロットの方が先。


パラサイトは面白かったけど、個人的には「なんでそこまでいくのか」が少しばかり突飛すぎた。

社会問題を描いた映画としては傑作だと思います。

個人的には危険なプロットはぐいぐい物語に引き込まれる。直接的な場面一切ないのにエロい。
とある生徒の文才に見せられた男性中年教師。彼ら二人の物語。
無理にくくれば家族もの、文学ものですが、全体を覆う雰囲気が妖しいw


以前に同監督の「8人の女たち」を見た時は才能あるけど濃すぎる作品だなあと感じてました。美女を見るには最高。


今は危険なプロットはhuluで見られるようです。

17才、とかも見てみたいです。クリミナル・ラヴァーズは怖そう。