虹の橋と白いはと     末期治療のはじまり


部屋の千羽鶴に『奇跡をおこすぞ』と妻は張り紙しました。
s病院の支援センターを訪ねた時、houjyouさんから贈ってもらった言葉です。
妻は『奇跡』によび起こされ、houjyouさんに抱きついて泣きました。
奇跡がある。奇跡を信じよう。まだまだ生きる望みもあるし道もある。
妻には笑顔が戻り日常の生活が楽がなりました。

おひな祭りの日が来ました。
妻はお正月にも帰っていないので実家に帰りたいと言いました。
遠出を気にしない元気がありました。
天気もいいし私は車を走らせました。
車の中でいろんな話をしました。
結納の日。初めて走った道は今は通りません。
結婚後の30年が2人の絆を讃えてくれるようにみえました。
家に着くとお母さんは言いました。
「さっちゃん!胸をみせてみんさい、、、。」
これまで心配するからと見せたことはありませんでした。
「心配せんでも大丈夫だから、、、。」
妻はにっこり笑って、それでも見せる事はせず帰りました。
車の中では子供達3人が素直に成人してくれてたことを喜び涙を流しました。
孫の結衣ちゃんは1歳と3ヶ月。二男は秋には結婚が決まっています。
三男も『とんど』に紹介してくれた彼女がいるいます。


ここにきて末期治療のはじまりが辛くてたまりません。
実家に帰る最後のドライブになってしまいました。