虹の橋と白い鳩(17)  

     リンパ浮腫

お盆が来ました。作木(三次市)に帰りましたが
途中妻は言葉も少なくいつとなく苦しそうでした。
お盆だから少々の無理は承知で私のふるさとへ帰ってくれたのです。
結婚してまもなく30年になります。
祖母も亡くなり、父も看取ってくれました。
思うように農作業はできませんでしたが、
「半日でも帰って手伝おう」と日帰りでした。

まだ小学生の男の子3人を広島に残して寂しい思いも度々させてしまいました。
長男の誕生日には「いつも子供達ばかりで留守番させて、お父さん、お母さんに仕事をさせてくれて、ありがとう。」の感謝状を贈ったものです。

妻の体調はだんだんと悪化していくのが目にみえはじめました。
それでも仕事は続けていきましたが送り迎えをする私も、
「もう仕事は止めよう」と引き止めました。

妻にはもう一つ悩みがあります。
それはリンパ浮腫で両腕は腫れあがり上がりにくくなってしまいました。
いろいろ心配する日も増えてきましたが、血が止まらない事が気になりました。

「鼻血がとまらない、、、!」。
妻は真っ赤に染まったティッシュを両手に、立ちすくんでいます。
鼻血はドンドン出てきてタオルも染まるばかり。
私は救急車を呼びました。
4階から降りるのが大変でした。間もなく救急車は来ましたが
行き先の病院が決まりません。
いつものS病院は夜間の為専門医がおられません。
次のH病院で引き受けてもらいました。
車は発車しましたが血が止まりませんでした。

病院に着くと待合の2人の患者さんに容態を解かってもらって
先に診察室に入れてもらう事ができましたた。
すばやい治療でようやく血は留り2時間の安静で帰宅の許可をもらいました。
翌日妻は仕事を止めることを決意し退職届けを出しました。

7年頑張って正社員となり、栄養士の資格を取ってこれからという退職は妻にとってこれからの生きがいをむしり取られた寂しいことになりました。
その後には2度目の乳房全摘手術が待ち受けています。
もう再建手術の気持ちはありません。
その時の腫瘍マアカーは44でした。