虹の橋と白い鳩(9)       
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        13時間の手術

陽は落ちて暗くなっています。
妻は今何処をさ迷っているのでしようか。
不安は高まるばかりでしたが、ただひたすら待つばかりでした。
何もお互いに話す言葉もありません。
想像に想像を重ねて待っていました。

きっと手術は成功してもうすぐ出てきてくれる。
「ここは病院なんだから心配しなくても大丈夫」と、
自分に言い聞かせながらも私はだんだん怖くなってきました。
廊下も薄暗くなって看護師さんの姿も見えません。
時計の針は夜の11時を差しました。

その時手術室のドアーが開きました。
13時間の手術を終わった妻はにっこりと笑顔をみせてくれました。
麻酔が覚めるまでベッドで休んでいたのです。
病室に帰るとまもなく眠りに入っていきました。
私もマンションに帰ってそのまま寝込んでいました。
長い長い一日が終わりました。