その映画は、今まで見た事のないような恋愛映画だった。
ある恋人同士が居た。その二人は、とても仲が良くて。
いつまでも、一緒に居られると思っていたのだ。
でも、運命は二人の仲を簡単に引き裂いて行く。
自分の事でいっぱいいっぱいになる青年。その青年を支えようとする少女。
けれど、どんなに心で支えようとしても、二人の距離は日に日に離れて行く。
そして、最後は、その二人は完全に引き裂かれた。
二度と出会う事もない、もう取り戻せない思い出となってしまった話だった。
その映画を見ている最中、朱里は涙を流していた。
「 朱里・・・・ 」
僕は朱里を見つめたまま、そっと彼女の右手に自分の左手を乗せた。
そのまま、優しく、握りしめる。
「 あ・・・・ごめんね・・・ 」
朱里は目を真っ赤にしながら、声を震わせながら言った。
「 もう小説で何回も見てるんだけど・・・・、やっぱり映画だと違うね 」
目を擦りながら朱里は笑う。
「 そうだね。でも、そういうものだよ 」
僕は優しく微笑んだ。
けど、僕は朱里みたいに涙を流す事はなかった。
どうしてなのか、自分でも分からない。誰でも涙を流すような話だったのに。
僕は、どうして涙を流さなかったのだろうか。
続く