「 あの、勇輝君? 」
「 僕は学生割引で千円だから、そのお金は朱里が払ってくれる?朱里の一般チケットは僕がお金払うから 」
「 そ、そんな!勇輝君に悪いよ! 」
僕は朱里の言葉を気にせず、チケット販売をしている人の所に向かった。
「 すみません、学生と一般のチケットください 」
僕はそのままポケットから財布を取り出し、千八百円を取り出した。
「 勇輝君・・・ 」
「 大丈夫だから 」
僕がそう言うと、朱里は自分の財布から千円を取り出した。
「 これでお願いします 」
僕は取り出したお金を売り場の人に渡した。
「 ではお席はどうなさいますか? 」
座席表を渡され、僕は朱里の方に顔を向けた。
「 どこら辺が良い? 」
「 えっと、真ん中、かな・・・ 」
朱里はまだ気まずそうな顔をしていた。
「 それじゃ、これでお願いします 」
僕はそう言うと、朱里の手を引いてホールに向かう。
「 ごめんね、勇輝君 」
朱里はその途中、そんな事を言ってきた。
「 良いんだよ、別に。気にしてない 」
僕は朱里の不安がる顔を見ると、とても切なくなる。
だから、そんな顔をさせないように、笑顔で朱里に言った。
「 ありがと、その、優しいね 」
朱里は今まで僕が見た事のない笑顔でそう言った。
初めて見た、朱里の違う笑顔。そして僕は、この本当に優しそうな微笑みが、彼女の朱里の本当の笑顔なのだと思った。
「 い、いや!そんな事ないよ 」
恥ずかしくなって、顔を朱里から背けてしまった。
すると、今度は朱里が僕の手を引いて歩きだした。
「 朱里? 」
「 早くしないと、映画始まっちゃうよ? 」
朱里は僕にそう微笑みながら言った。
腕時計に目をやると、そろそろ始まる時間だった。
僕たちは急いでホールに向かった。
続く