普通に起きて普通に学校行って、普通に友達と青春を謳歌して充実を噛み締めて普通に眠る。
そんな…、日々だったはずなんだけどな?
どうなんだよ。これ。
響き渡るサイレンの音。
もしそれが遠くで鳴っているのならば対して気にも留めず、
…何かあったのかな?
それくらいで済んでしまうものだろう。
諺などで言う、対岸の火事というやつである。
彼もそんな事を思いたいであろうが、到底無理な話だ。
なぜならサイレンの中心に位置しているのは彼なのだから。
「腕部神経管、動作チェック及び接続者に合わせた微調整完了しました!!
次、足部の微調整を開始します!」
けたたましくなり響くサイレンの中で、さらにうるさく鳴っている男性の太い声。
彼らは青年の周りを世話しなく動き回り、
時折怒鳴るように意味のわからない単語言ったと
思えば、
青年の体に装着された機会をいじくりまわす。
「HAHAHA!
腕を上げたな軍曹!
昔はバールを持った猿とまで言われた男だというのに…」
「それは光栄です!!
いや…でもなんでバールなんですか…?
しかも猿?」
「うむ、ジョークだ。」
笑ってよいのか悪いのか
判断が難しいジョークを言う西洋人の男性。
それを苦笑いで返す、先程怒鳴った男性。
どうやらお互いに古い付き合いのようだが、
そんな事。
雑音の中にいる青年にはどうでもよい話だった。
しかし彼が一つだけ感想を返すなら、
うぜえ。
その一言である。
どうしてこうなった…。
いまだ青年の周りには人が行き交い、彼に一つまた一つとおかしな機械を取り付けていく。
どうしてこうなった…。
再び青年は心の中で呟く。
自分の行く末に対しての不安と後悔を抱きながら。