* 『』がJSです。
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『どうして俺のこと避けるの』
掴まれた手首が、ぎり、と痛んだ。
「避けてないよ」
嘘。
『俺が嫌いなんでしょ』
嫌い。
「嫌いじゃないよ」
また嘘?
「嫌いじゃない」
嘘じゃない。
『じゃあなんで俺のこと避けるの』
嫌いだから。
「だから避けてないって」
また嘘。
『嘘ばっかり』
ジェソプは笑って、僕の手首を放した。
嫌いじゃない。
嘘。
避けてない。
嘘。
僕に嘘を吐かせるから。
嫌い。
僕に嘘を吐かせて、そしてそれを指摘するから。
僕の嘘を見抜いているから。
僕が嘘吐きであることを自覚させるから。
綺麗に笑っていられないから。
怖い。
僕は念を押すように言った。
「嫌いじゃないよ」
だから、近付きたくないんだ。