Shudder Log -35ページ目

Shudder Log

* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

* 『』がJSです。


***

 


『どうして俺のこと避けるの』
 
掴まれた手首が、ぎり、と痛んだ。
 
「避けてないよ」
 
嘘。
 
『俺が嫌いなんでしょ』
 
嫌い。
 
「嫌いじゃないよ」
 
また嘘?
 
「嫌いじゃない」
 
嘘じゃない。
 
『じゃあなんで俺のこと避けるの』
 
嫌いだから。
 
「だから避けてないって」
 
また嘘。
 
『嘘ばっかり』
 
ジェソプは笑って、僕の手首を放した。
 
嫌いじゃない。
 
嘘。
 
避けてない。
 
嘘。
 
僕に嘘を吐かせるから。
 
嫌い。
 
僕に嘘を吐かせて、そしてそれを指摘するから。
 
僕の嘘を見抜いているから。
 
僕が嘘吐きであることを自覚させるから。
 
綺麗に笑っていられないから。
 
怖い。
 
僕は念を押すように言った。
 
「嫌いじゃないよ」
 
だから、近付きたくないんだ。

* 『』がJSです。


***


冷蔵庫の前に、もう寝たはずの人影があった。
 
「まだ起きてたの」
 
開けた扉の前でしゃがみこみ、庫内灯に照らされている。
 
『起きてたんじゃなくて起きた』
 
起きた理由はひとつしかない。
 
「腹でも減った?」
 
俺がキッチンの明かりを付けると、目をしばたたかせた。
 
『うん。でも食えるものが何もない』
 
落胆した様子で答える。
 
「何もないってことはないだろ」
 
後ろから覗き込むと、食材と調味料しかなく、すぐ口に入れられるものはなかった。
 
「本当だ」
 
だろ、と気落ちした声で返される。
 
「何か作ろうか?」
 
何ができるかな、と考えながら言う。
 
『何かって?』
 
AJは俺を振り返るように見上げた。
 
「ラーメンとか、シリアルにミルクをかけたもの、とか」
 
期待の込められた眼差しに、ニヤリと笑って答えると、AJも笑みを見せた。
 
『ラーメンがいいな。ちゃんと野菜が乗ってるやつ』
 
ラーメンに炒め野菜。
 
まあ、今ある材料的にもそんなところだろう。
 
「了解。じゃあお湯沸かして」
 
俺はそう言って、AJの額にキスを落とした。

* 『』がJSです。
* 東京での共同生活中、じぇそふには同室で、2段ベッドで寝てました。

*** 
 

『もう寝た?』
 
ベッドの下から声がした。
 
「もう寝たよ」
 
一応、返事をする。
 
『寝てないじゃん』
 
おっしゃるとおり。
 
「もうすぐ寝るよ」
 
小さく文句を言う声が聞こえた。
 
仕方ない。
 
僕は目を閉じたまま、ベッドの端に転がる。
 
「ジェソプ」
 
ちゅっ。
 
わざと音を立てて自分の手の甲にキスをする。
 
それから、その手をベッドの下に差し出す。
 
「おやすみのキス」
 
一瞬の間があってから、僕の手を取る。
 
ちゅ。
 
手の甲の同じ場所に唇が押し当てられ、離される。
 
僕は、取られた手をぎゅっと握ってから、腕を引っ込めた。
 
ちゅっ。
 
もう一度音を立てて、自分で手の甲にキスする。
 
「おやすみ、ジェソプ」
 
体を転がして、ベッドの真ん中に戻る。
 
『おやすみ』
 
返された声は、さっきより穏やかになっていた。
* 『』がJSです。

***


「探してたって?」
 
そう声をかけると。
 
『探してないよ』
 
こっちも見ずに、そっけない返事をする。
 
「俺がどこにいるか聞いたって」
 
控え室で言われた、と伝えれば。
 
『どこにいるか聞いただけで別に探してたわけじゃない』
 
興味なさげに答える。
 
「俺がどこにいたか結局分からなかったんでしょ?」
 
俺の行った先を知る人は、その場にはいなかったらしい。
 
『分からなかった』
 
それで満足するわけないよな。
 
「だから探してくれたのか」
 
誰も知らないと知って、AJは控え室を出たと言われた。
 
『探してないよ』
 
やっとこっちを見る。
 
「俺は探した」
 
笑って言ってやれば。
 
『あ、そう』
 
また顔を背けて、無関心なフリ。
 
「んで、見つけた」
 
抱きしめても、珍しく素直に腕の中に収まって。
 
拒絶する言葉もなかったから。
 
思わず頬にキスしたら。
 
息を呑む音がして、耳が赤く染まった。

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