Accompany (Sooli) | Shudder Log

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* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

同じ齢で、英語で喋ることもできて、同じラップ組で、末っ子を失ってからも二人三脚でがんばってきた。
ダンスの変更は全員で、それだけでも大変だとボーカル組の自分も感じるのに、加えて2人は担当パートが増えて。
そのAJはアメリカ残って、その分も負担して。
何よりも一時的にとはいえ離れることになって。
それでもイライは弱音を吐くこともなく、いつも笑顔で。
そりゃまあ、時には眠そうだけど、無理もないことだ。
 
「飲みに行こうぜ」
 
俺は後ろから、イライの肩に腕をかけた。
忙しくないとは言い難いが、予定より練習が早く終わった。
 
「んー、どうしようかな」
 
気の乗らない返事に、明るくはない表情。
 
「珍しいだろ、この時間」
 
俺は腕の時計を見せる。
うまくいったから早かったのではなく。
本当は今日やるはずだったところが、できなすぎて明日に回された。
 
「そうだけど」
 
気になるのはもちろん分かる。
俺は考えて、大げさに言ってみる。
 
「もう予定があるとか? 分かった、デートだな」
「違うよ!」
 
イライはもちろん否定して、でもやっと笑顔になった。
 
「じゃあ、俺とデートしてくれよ」
 
俺の顔を見て、イライは片眉をあげる。
 
「奢ってくれる?」
「当然だろ」
 
イライの頭をくしゃりと撫でた。
 
「好きなもん食わせてやる」
「じゃ、行こうかな」
 
視線だけ上に向けて、仕方ない、というような顔する。
 
「そう来なきゃ」
 
辛い、と言わせたいわけじゃない。
苦しい、と言わせたいわけじゃない。
頑張る、と言うなら助けたいけど、少し心配にはなる。
その通り伝えても、逆に気を使わせるだけ。
その通り伝えなくても、きっと気付いているだろうけど。
だからせめて、美味しいものでも食べて、時には酒を飲んで。
何も考えずに楽しむ時間を。
 
「飲み明かすぞ!」
「おー!」
 
そんなことできないのは分かってる。
だけどせめて。
そんな風に思える時間を。
このあと作れるように祈って、俺はイライの頬に口付けた。
イライは嫌そうな顔をして、唇が触れた頬を拭った。