鬼ではないKE [fragment] | Shudder Log

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* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

Elvinは瓜子姫。
ストーカーパラレルか。
ELは病んでるのは似合わないんだけど。
 
 
* non-con(合意のない性行為)というほどではないけど注意。
 
 
 ***
 
 
「開けられないよ」
 
ケビンは震える声で言った。
 
「少しだけだよ。いいだろう?」
 
ドアの外で、甘い声が誘う。
 
「誰も入れるなって言われてるんだ」
 
身体の前で手を握り締めて答える。
 
「分かった、中には入らない。だから顔を見せてくれよ」
 
ケビンが黙ると、声は続けた。
 
「一瞬だけでいいから。なあ、頼むよ」
 
懇願する調子に、心が揺らぐ。
 
一瞬、顔を見せるだけなら。
それで帰ってくれるなら。
その方がいい。
もうこれ以上、呼び鈴に怯えるのは嫌だ。
 
ケビンはドアに近付き、チェーンがかかっていることをもう一度確認する。
 
「本当に顔を見るだけだよ」
「ああ、約束する」
 
息を飲み込み、鍵を開けた。
ゆっくりとドアを押し開き、外の様子を伺う。
隙間から差す光に目を細めたが、そこに声の主の姿はなかった。
すると突然、力強くドアが引かれた。
チェーンが鈍い音を立ててピンと張る。
その下から差し込まれた腕が、力強くケビンの手首を捕らえた。
 
「やっと会えた」
 
姿を見せたイライは、口許に笑みを浮かべている。
そしてケビンは、自分が判断を誤ったことを悟った。