KSが彼女を殺したら [fragment] | Shudder Log

Shudder Log

* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

2Seopでサスペンスパラレル。
Forbidden LoveはKSが恋人を殺しちゃった感じだけど、犯人のはずのKSはなんかぼけっとしてて自覚なさそうだよね。
なんか外でサイレンなってるし、部屋荒れてるし、あれ、これどうなってんの?と思ってたら警察が踏み込んできて、囲まれて、別の部屋から「見つけました!」なんて声がして、「ちょっとお話聞かせて貰えませんか」って連れ出されて。そしたら何故か駆けつけてきたJSがいて「何があったんだ?」「分かんない」とか話して。パトカーに乗る寸前にJSに手を引かれてそのまま逃走、関係各地を転々としながら真相を追う、みたいな。
 
ELはJSの友達で協力者。
DHは何も知らないKSの弟。
SHとHMは刑事で、KEは事件の鍵を握る謎の青年?
彼女の名前はとりあえず「ユンジ」で。KSってよりEL(じゃなきゃJS)だけど。むしろYJちゃん超ごめん。
 
 *
 
「やっぱり、僕が、ユンジを」
 
キソプは目を見開いて、ケビンを見つめた。
 
「ケビンはそう言ってない」
「でも」
 
俺の言葉を遮って、キソプは続ける。
 
「あの部屋にいたのは、僕とユンジの二人で」
 
見開いた目が潤んで、拳が固く握られる。
 
「僕は」
「キソプ」
 
名前を呼んで、強く抱きしめる。
 
どうして。
こうして追い詰めてしまうくらいなら、事実なんてどうでもよかったのに。
 
――― 永遠に逃げるわけにはいかないぞ。
 
シン刑事の言葉が脳裏に浮かぶ。
それだって、分かってた。
でも、こんなに早く。
 
「ジェソプ、僕、やっぱり、でも」
「キソプ」
「絶対、ドンホには言わないで‥‥」
 
ドンホと血の繋がりがないことは、2年前から知っていた。
それはキソプではなく、ドンホの口から聞いた。
あの時ドンホは、いつものように屈託なく、さらりと言ってのけたのだった。
 
キソプは俺の服を握り締めて、嗚咽を零した。
 
「お願い」
「言うわけないだろ」
 
抱きしめる腕に力を込める。
ユンジが死んだ理由、キソプが人を手にかけた理由。
両親が自殺していた、それも、理由が―――。
ドンホに?
言えるわけがない。
 
「僕はもう行くけど」
 
ケビンの声が響いて我に返る。
腕の中のキソプは肩を震わせて泣いている。
 
「他にまだある?」
 
優しいようで、ひどく冷たい声。
さっきかけた電話を逆探知して、警察がくるのも時間の問題だ。
その前にこの場を去る必要があるのだろう。
 
何も、と答えようと口を開いたが、先に言葉を発したのはキソプだった。
 
「ケビン」
 
涙のせいで鼻にかかってはいるが、しっかりした声でキソプは言った。
 
「ありがとう」
 
ケビンは僅かに目を開き、柔和な笑みを見せた。
 
「どういたしまして」
 
じゃあ、と言い残し、ケビンは足音を立てずに部屋を出る。
ドアが閉まると、換気扇の音だけが響いた。
遠くにサイレンが聞こえた気がした。
 
「遅いかもしれないけど、僕、自首するよ」
 
キソプは腫れた目で、しかしきっぱりと言った。
 
「罪は償わなきゃ」
 
逃げろ。
逃げよう。
二人で、どこまでも。
 
喉元で暴れる言葉を飲み込んで、俺は頷く。
 
「分かった。待ってるよ、ドンホと二人で」
 
涙を浮かべたままキソプは微笑む。
 
「ドンホをよろしく」
「任せとけ」
 
笑みを返して、もう一度キソプを腕に抱く。
 
「愛してる」
 
しっかりと抱きしめて、頬に口付けた。
 
サイレンがはっきりと聞こえていた。
人の叫ぶ声に、車のドアが閉まる音もした。
それから、部屋の外の階段を駆け上がる靴音が響いた。