次まで時間が空くから休んでおけと言われて控え室に戻ると、一足先にイライが眠っていた。
ソファの肘掛を抱くように、丸くなって寝入っている。
起こさないように気を付けながら、そっと隣に座る。
俺は一度大きく伸びをしてから、首を反らせて頭を背凭れに乗せ、目を閉じて息を吐いた。
『スヒョン兄?』
横を見ると、イライがうっすらと目を開けている。
「俺も寝に来た」
イライは微笑み、大きくあくびをした。
腕を伸ばしても髪には届きそうもなかったので、太腿に手を乗せて俺は再び目を閉じる。
『ヒョン』
「今のうちに寝てよ」
はっきりとした声色のイライに、俺は答える。
寝られるときに寝ておくのは、この仕事では鉄則だ。
『スヒョン兄』
声がさっきよりも近くで聞こえて、仕方なく目を開ける。
イライは身体を起こし、その手を俺の手に重ねている。
「何?」
『ちょっとだけ』
そう言って、顔を近付ける。
どちらからともなく口付け、腰に手が回される。
何度目かのキスの後で、ふと息を吐くと、イライが小さく囁いた。
『寝れなくなりそう』
それはマズい、と俺は言い、イライを抱きしめてソファに横になった。
「ちゃんと寝よう」
首筋に鼻先を埋めれば、本当はその先がしたくなるけど。
『オーケイ』
イライはまた眠たそうな声で答えて、すぐに寝息を立て始める。
その音を聞いて、実は寝ぼけてたのかもしれないと思いながら、俺も瞼を閉じた。