大いなる眩暈の中で
大きな愛を包む一報は
遠いあの陽の温もりを私に運ぶ
眩暈はやがて揺らぎに変わり囁きへと姿を変え
私をくすぐる
くるくる回るファンは空気を攪拌
フルフル震える季節は過ぎ
シュルシュルと音を立てて解ける
怖くないよ
怖くないよ
中から現れた紐のような蛇は言う
怖くないよ
だから開けてごらん
からかわれたような、恥かしいような気持ちになって、
ふたを開けると、
辺りは突然暗闇に包まれた。
徐々に目が慣れてくると、
どうやら、ココには沢山の人がいるみたい。
所々に小さな明かりがあるのが見えた。
ひきつけられる様にして光を覗き込む。
危ないよ
それは罠だ
誰かが言う。
そうやって、おびきよせるんだ
誰かが言う。
違うよ。本当だよ
誰かが言う。
怖くなって、言っているのが誰なのか確かめようとする。
この小さな明かりじゃ、うっすらと輪郭が浮かび上がるくらい。
耳を澄ますと、あちらこちらでひそひそと声をひそめた会話が聞こえる。
少しでもいいから、何か、
ココについて
私について
何か
なんでもいいから
と、様子を伺う。
どのくらい時間が経ったか。
一年かも知れない。
一日かもしれない。
何となくココのルールがわかった。
見方によってはずいぶん居心地の良いような錯覚を覚えたけれど、
ココは、溜まった毒を吐き出すところだったんだ。
皆は気付いていないかもしれない。
集められた毒は一所に集められて、
ソレがどうやってか金貨に換わる。
変えられた金貨は人々の手に渡り、
人々はまた毒を吐きにやってくる。
毒は更に精製され、
毒の値は更につりあがる。
毒は一見毒とわからないように身なりを整えて、
巧妙に顧客に忍び寄る。
目を凝らしてよく耳を澄ますと、
所々に、聞き覚えのある声がした。
振り返ってみると、
毒の塗ったやり先はキリキリと音を立てて此方に向けられていた。
危ない
そう思った瞬間にふたを閉じた。
一瞬耳鳴りがした後、またもとの陽だまりの中にいた。
アレは一体なんだったんだろう。
毒は甘く美味しそうに見えた。
怖くないよ
怖くないよ
開けてごらん
今でも時折蛇は私の元を訪れる。