月曜の朝は調子が出ない。

そっと教室内を見渡す。誰もがあくびしながらアイドリング中。

ガラッ

担任Y登場。腰にタオルをぶら下げて

うつむきがちに負のオーラを放つ。

さらにこちらのテンションが下がる。


「おはよう。う・・・む・・・うー・・・では出欠を取る」

うめくような独特の語り口。


「A」 「ハイ」

「I」  「ハイ」

自分の名前を呼ばれるまでの緊張の一時。


「T」 「・・・・」 リピート「T」 一瞬の間。

おもむろに担任Yが顔を上げると同時に

教室の後ろの戸が開いた。


「タキタキタ!」誰かが叫び教室内が沸く。


このどさくさに不届きものが早弁しようと

弁当箱の蓋をこっそり開けたとたん・・・

教室中が白い煙とラベンダーの香りに包まれた。


意識が遠のいていく。


PLAY BACK。


担任Y登場。タオルがない。

空気が軽いのは丸腰のせい?


「え~・・・うー・・・では出欠を取る」

ぼそぼそ声は同じ。


「A」 「ハイ」 「I」 「ハイ」


自分の番が来るまでの緊張感も。

だけど何かが違う!

欠席が多い?NO!もっと決定的な違和感。

醸し出される空気は間違いなく担任Yのものだけど、

いつものランニングにジャージの着流しではない。

クレーの絵に似た素敵な格子柄のシャツを着てる!

頭の中で、当たらない易者みたいな衣装を着せてみる。

お~これこれ!でも何故?何故ハマる?

どこか変・・・髪型?

髪・・・・?そういえば・・・・ 


「T」 「ハイ。今日は遅刻してません!」

担任Yが顔を上げる。

「T!おまえはいつも遅刻ばかりしていた。そうだ!おまえは遅刻王だった!」


え?何!この泣き出したい衝動?

そろそろ全員が気付き始めていた。


担任Yが読み上げる名前と返事をして立ち上がる顔が

一致しないことに。


「あの人誰?」

「どちら様で?」「そちらこそ・・・」

「ここはどこ?私は誰?」

お決まりの記憶喪失者のセリフ。


一同パニック。


「俺だよ!Y男だよ」

「うそ~!パーマかけてチャラチャラしてたあのY男?

なんか怪しい町内会のオッサンみたいになってない?」

(ひでぇ。そっちこそ妖怪砂掛け婆あみたいじゃないか・・・Y男の心の声)

「ちょっと~星飛雄馬が星一徹になってるわよ~」

これは本日の名言大賞!


謎の中高年のつどいは混乱と興奮のうちに

約時間半ほど盛り上がり

やがてお開きとなった。


祭りのあと

出席者たちはそれぞれの現実へと戻って行く。

切なくて温かくてほろ苦い

解析不能の感情を消化しきれないまま。


「やけに今日欠席多くない?半数位?」

「Y先生休みかな?やった~英語自習かも」

「あれ?後ろの黒板に何か書いてある!」


教室に残っているクラスメートへ

2014年6月に開催の○○同窓会へ

タイムスリップしてみませんか?

方法は自分で考案のこと。

(実はよく解明されていないので)

合言葉は

「玉手箱」「みんなで開ければ恐くない」

以上

             ― 完―