『史上最強の人生戦略マニュアル』で、マグロー氏は「自分が今あるのは自分に責任がある(自分自身を犠牲者にするのをやめろ)」と繰り返し述べています。
この言葉は、立場によってはとても厳しい言葉に聞こえるかもしれません。
しかし、それがまぎれもない事実であるということを、自らの世にも悲惨な経験によって証明した心理学者の記録があります。
よく翻訳モノの自己啓発本(『史上最強の~』でも触れられています)で触れられることの多いこの本、私は学生時代に一回読んだきり10年以上本棚に放置しておりました


現在、翻訳者をかえて解説を削った新版も出版されているようです。
そっちのほうが好評みたい。
当時は事実関係が知りたかっただけなので、収監者の心理状態等といったこの本の主題にはあまり興味がわかず、特に読後の感想も記憶に残っていなかったのですが(^_^;
というわけで、見方を変えて再読。
著者は心理学が専門の医師であったフランクル教授。
ユダヤ人であるという理由のみで強制収容所の囚人となり、肉体的・精神的に酷い虐待を受けながらも、心理学者の好奇心・探究心を失わず、自他の内面を冷静に観察・分析しつづけました。
その経験から著者は、
・どんなに自由を制限されても、事態にどのような態度を取るかという自由(人間最後の自由)は奪うことは出来ない。
・現実の困難は自分の内的成長に役立てると言う目標を持った人間は日常生活では到達できない人間的偉大に到達することができ、現実を直視せず、未来を喪失し、過去の想起の中に逃げ込む人間の生活はしだいに埋もれていってしまう。
という発見します。
自己の崩壊は精神的にも身体的にも転落をもたらします。
収容所ではそれは即ち死を意味していました。
そんな状況で、未来と自己を放棄してしまいそうな人々にフランクル教授は、
「自分の人生は自分にいまだ何かを期待していること」
「未来には人生における何かが自分を待っていること」
を説き勇気づけます。
どんな理不尽な状況に放り込まれても、人生に対する責任を自覚することによって、人々は再び生きる意欲を取りもどすことが出来るのです。
死に取り囲まれ、自分にもいつ死が訪れるか解らない状況の中で、心を折ることなく生き抜いた著者には驚嘆させられます。
自分自身はそんな強くなれるか。。。と言ったら、絶対なれそうもありません。
しかし、平穏に見える現在日本における"引きこもり"や"自殺" etc. といった問題の根も実は同じものに見えます。
自己喪失・未来喪失による転落の罠は意外と身近にあるのかもしれません。
そのような無気力の罠に陥らないためにも、「人生に対する責任を自覚する」事を常に心していかねばならないと思います。
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