20代の頃、デザインの仕事をはじめた私ですが、同時にバンド活動もしていた私にとって、音楽とデザインって、わりと創作段階では同じ作業をしてると思うんですよね。
曲をつくる時って、かっこいいリフやフレーズが天から降ってきたり、歌詞の一部になるようなインパクトのある言葉が見つかったり、風景を見ていたら美しいメロディが浮かんできたり、、もちろん楽器をいじりながら自然と出来てしまうものもありますよね。
デザインや美術も、インパクトのあるビジュアルが突然降ってきたり、キーワードから絵が浮かんできたり、街の風景や看板から新しいものが連想されたり、Photoshopを触ってたら何となくかっこいいものが出来たり、、と似てるんですよねー、作曲のプロセスと。
だから、今でも最新の音楽を聴くし、昔の音楽も愛してますし、それらにデザインが影響される部分はかなり大きいです。
最近では音楽もデザインも映像なんかもそうですが、コンピューターを通して制作する機会が圧倒的に多いので、その相互性もより強まってますね。
ミュージシャンの中には音楽同様、アートの才能もある人も多いのですが、そのひとり、、というか音楽同様独特な感性をもっているのがベンジーこと浅井健一さんですね。
ベンジーの音楽って、すごく乱暴な分け方をすると2種類あって、いわゆる「かっこいい」音楽と、物語性の高い「うた」の世界にわかれてますよね。
そしてその2つが融合した映画のようなキラーチューンがあるのがブランキーの最大の強みですね。
ブランキージェットシティの代表作のひとつであり、ブランキー第一期の到達点でもあるアルバム「C.B.Jim」。
私も大好きなアルバムですが、このアルバムのオープニングナンバーが「PUNKY BAD HIP」。
サーフィンミュージックのような「ズンタタ」ドラムがカッコいいこの曲。
このちょっとあとにタランティーノ監督の「パルプフィクション」のテーマソングで、このズンタタドラムが流行するわけで、そういった意味でもやっぱり先見の明があるバンドでしたね。
カッコいい曲満載のブランキーの中でも上位に入るであろうクールな曲ですが、この曲をさらに凄い曲にしてるのは、やっぱり歌詞ですよね。
ベンジーの創作するフレーズって、「そのセンスはどこから降ってくるの?」ってくらい独創的で、「アラスカ帰りのチェーンソー」なんてそんじょそこらの作家じゃ絶対出てこないようなカッコいい言葉ですよね。
そんなカッコいいフレーズも随所にでてくる「PUNKY BAD HIP」ですが、歌詞を見たら絶対絵が浮かびそうな世界観で描かれた曲ですね。
新しい国が出来た 人口わずか15人
それも全員センスのない単車乗りばかりが揃ってる
天国行きのエスカレーター
その手すりはワニの皮だったぜ
フロントフォークが一番長いのはC.B.Jim
夕陽をバックに彼は言った「オレ達の国境は地平線さ」
前回のブログで語った「Baby Revolution」のような起承転結とまではいきませんが、十分にイメージが目に浮かぶ、映像的な世界観の歌詞の傑作です。
「ワイルドエンジェル」や「イージーライダー」くらいのピーター・フォンダの主演映画とか、好きなんだろうなーってわかる詩ですよね。
でも、そこに終末的思想もかいま見えたり、ニューシネマの頃の西部劇映画のイメージもあてはまりそうですね。
No.10のFAT BOBはウエイトレスに首ったけ
だけど彼女の返事はいつもこうさ
「世界が終わるまで待っててBaby」
いかにもロックバンド的な発想ですが、
No.10のFAT BOBっていうフレーズを使うセンス...最高です。
世界が終わったら何もできないんだけどなぁ。。
そして皮肉たっぷりのフレーズもでてきます。
古い世代の奴らは金で何でも買いあさった
だけどオレ達は自然の掟の中で生きる獣の世代さ
時代的にバブル崩壊後につくられた歌ですが、
まだまだこういうオジサンがいっぱいいた時代で、、
ベンジーが彼らをどういう目で見てたかってのは一目瞭然ですね。
「自然の掟の中で生きる獣」ってところが
ナチュラル第一主義であるからこそ、今でもかっこいい浅井健一って人を象徴してますね。
そしてそんな「PUNKY BAD HIP」をイメージしてデザインしたスマホケースがこちらです。どうぞ!
あれ?犬?...って感じですが、ここはC.B.Jimのジャケットのデザインへのリスペクトも入ってます。
歌詞をそのままのイメージでデザインすると、かなりワイルドで男性限定のスマホケースって感じになりそうでしたので、PUNKY BAD HIPをポップな感じで仕上げてみました。
こちらの「リーバ」のサイトで販売しておりますので、興味があれば覗いてください。
この曲をはじめDIJや3104丁目、悪いひとたちなど、名曲がぎっしりのこのサードアルバムは間違いなく名盤であり、初期のとんがった感じが出ている最後のアルバムってこともあり、ブランキージェットシティの入門編としては最適なアルバムではないでしょうか。
ではまた。。