公認心理師試験まで,あと9日。

 「公認心理師試験設計表」大項目10,「脳・神経の働き」についてざっと見てみよう。出題割合は2%。

 大脳には,数百億個の神経細胞がある。
 神経細胞は,神経細胞体と神経線維からできている。

 神経細胞体は,200分の1mmから10分の1mmほどの大きさ。樹状突起を持つ点が特徴。

 神経線維は,神経細胞の一部が細長く伸びた部分のこと。太いもので10マイクロメートルほどであり,肉眼では見えない。肉眼で見えるいわゆる「神経」とは,神経線維がたくさん束になったもので,解剖学的には「神経線維束」と呼ばれる。
 神経線維は,たいていの場合,軸索と同じ意味で使われる。同じく神経細胞体から飛び出した部分である樹状突起は,普通は神経繊維に含めない。
 神経繊維間の絶縁を行っているのがミエリン鞘(髄鞘)である。ミエリン鞘は,希突起グリア細胞(末梢神経ではシュワン細胞)が神経線維の周囲を何重にも取り巻き,バウムクーヘン状になったものである。
 神経線維の内,ミエリン鞘に囲まれているものを有鞘神経線維,囲まれていないものを無鞘神経線維と呼ぶ。有鞘神経線維では,「跳躍伝導」の仕組みにより,無鞘神経線維に比べて情報伝導のスピードが圧倒的に早い(100倍以上)。

 灰白質(かいはくしつ,gray matter)とは,中枢神経系の神経組織のうち,神経細胞体がたくさん集まっている部位のこと。
 白質(white matter)とは,同じく神経線維だけの部位のこと。
 名前の由来は,新鮮な脳組織の断面を肉眼で観察すると,白質は明るく光るような白色であるのに対し,灰白質は灰色がかって見えることによる。

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%81%B0%E7%99%BD%E8%B3%AA

 灰白質は,大脳や小脳では表層を占めており,大脳皮質や小脳皮質と呼ばれる。
 白質は,大脳や小脳では深層を占め,大脳髄質や小脳髄質と呼ばれる。
 大脳基底核(basal ganglia)は,大脳髄質の更に内側にあり,灰白質である。
 basalはbaseが元になっている言葉。「基底の」でもいいけれど,「麓の」「土台の」くらいの方がイメージしやすい。
 gangliaはganglion(神経節)の複数形。「組」や「隊」を表すgangと関係のある言葉なのだろう。ちなみに神経節は,末梢神経系における神経細胞体の集まり,とのこと。
 言葉からのイメージでは,basal bangliaとは,「大脳の麓にいる,神経細胞体ギャング(組)群」といったところか。
 このギャング(組)はいくつかあり,「尾状核」ギャング・「被殻」ギャング・「淡蒼球」ギャング・「視床」ギャングと名づけられている,というくらいの捉えでいいかな。覚え方として,「美女は比較的、短命でししょ」というのが出ていた。まあ,覚えなくても良いと思うが。

http://oikomarenaika.seesaa.net/article/398996484.html

 脳葉(Cerebral lobe)について。
 cerebralは「脳の」。cerebral paralysisで「卒中」,cerebral infarctionで「脳梗塞」,cerabral palsyで「脳性麻痺」。
 lobeは解剖学で「葉」と訳されるのだが,この「葉」はlobelia(ロベリア)の葉,なのだろうか。…違うらしい。語源は,ギリシア語→中世ラテン語(外皮・殻・さや)→中性フランス語→中世英語と,つながっている。豆のさやのように,ひとまとまりになっているもの,といったイメージだろうか。ポピュラーなところでは,耳たぶは「earlobe」,である。
 脳葉(Cerebral lobe)は,大脳を解剖学的に区分する見方で,目立つ脳溝を境界としている。
 脳葉(Cerebral lobe)という観点から脳の構造を把握しようとする試みは,19世紀半ばから行われている。(フランスの解剖学者ルイ・ピエール・グラチオレ,1854)。グラチオレの研究以前は,前部・後部など,大ざっぱなものであったという。
 脳葉(Cerebral lobe)は,前頭葉・頭頂葉・後頭葉・側頭葉の4つであったが,1975年に「島」が,1998年に「辺縁葉」が加えられ,現在は6つのlobeに区分されている。

 大脳の解剖学的な分類である「脳葉」(cerebral lobe)に対して,大脳の「細胞構築学」的な分類が,「ブロードマンの脳地図」である。
 ブロードマンの脳地図では,大脳皮質の神経細胞を染色して可視化し,組織構造が均一である部分をひとまとまりにして,1~52まで番号をふっている。人間の脳地図は,ドイツ人の神経科学者コルビニアン・ブロードマン(Korbinian Brodmann)により,20世紀初頭(1908年)に発表された。
 脳葉では「~葉」(lobe)という言葉が使われたが,ブロードマンの脳地図では「~野」(area,Brodman's Area:BA)である。
 ブロードマンの脳地図は,脳機能局在論(Theory of localization of brain function)の発展を助ける役割を果たしている。

 脳機能局在論(Theory of localization of brain function)のはしりは,ドイツ人医師ガルの骨相学で,19世紀初頭に流行したが,否定されている。
 19世紀半ば,フランス人医師ピエール・ポール・ブローカが失語症患者の脳研究により,大脳の言語を扱うエリアを見い出した。これが「ブローカ野」(Broca's area)で,左半球の前頭葉に位置し,ブロードマンの脳地図の44野にあたる。このエリアに損傷を受けると,ブローカ失語(運動性失語)の症状を示す。運動性失語では,文法的に複雑な文章を作り出すことができず,「電文体」と呼ばれる内容語のみで構成されたものになる。言語理解は良好である。
 次いで,ドイツ人医師カール・ウェルニッケが,感覚失語の病巣を見出した。これが「ウェルニッケ野」(Wernicke's area)で,左半球の側頭葉に位置し,ブロードマンの脳地図の22野にあたる。このエリアに損傷を受けると,ウェルニッケ失語(感覚性失語)の症状を示す。感覚性失語では,言葉を聴覚的に理解することが著しく障害される。発話は流暢であるが,内容が乏しく,言い間違いや意味不明な造語が見られる


 間脳は,文字通り左右大脳半球の間にある脳で,床下部(自律神経の中枢)脳下垂体(ホルモンの分泌を行う)視床(嗅覚を除く全感覚の中継を行う)からなる。

 小脳は,平衡感覚協調運動運動の学習や記憶に関与している。

 脳幹は,大脳と脊髄をつないでいる部分である。上部にある「網様体賦活系」は,意識と覚醒のレベルを調整している。


 細かいところで引っかかって調べていたので,まあこんなところでしょう。この領域を網羅的に勉強するのは時間的に無理なので,これくらいで。


【本日の勉強時間:2時間,「脳・神経の働き」勉強時間:2時間/2時間,累計勉強時間38時間/100時間】