公認心理師試験まで,あと24日。

 今日は,「公認心理師試験設計表」大項目16,「健康・医療に関する心理学」の中の,中項目(1)「ストレスと心身の疾病との関係」について勉強する。

 ストレス学説の祖として名前が挙がるのが,生理学者ハンス・セリエ(Hans Selye)である。セリエは1907年ウィーンに生まれ,1931年に北米へ移り,1982年カナダのモントリオールで亡くなっている。
 1936年の論文で,「歪み」を意味する工学用語である「stress」を,生物学的な意味で用い,またストレスを生じさせる刺激を「stressor」と名づけた。
 ストレスがかかった状態では,副腎皮質の肥大・胸腺やリンパ腺の萎縮・胃や十二指腸潰瘍など共通の症候が見られるとし,汎適応症候群(GAS:General Adaptation Syndrome)と名づけた。
 ストレスに対する反応を3つの時期に分け,警告反応期(ショック相・反ショック相からなる)・抵抗期・疲はい期と名づけた。

 生物学的・心理的・社会的な多彩な刺激と,それに対する人間の反応について,「ストレス」という工学用語で概念化し法則性を見出そうとしたことが,画期的であり,大きな影響を与えたということなのだろう。
 私たちが「ストレス」という概念で考えるとき,どこかに「工学的」な,あるいは「生理学的」な視点やファンタジーが入り込んでいる。
 そしてこの視点から,ストレスの人体への作用機序について,より精密な生理学的・分子生物学的なメカニズムの探求が進められている,はずである。


 ストレスに関する心理学で著名なのが,カリフォルニア大学バークレー校の心理学教授であったリチャード・S・ラザルス(Richard S. Lazarus)である。ラザルスは,1922年に生まれ,2002年に亡くなっている。
 ラザルスは,まずストレッサーに対する「認知的評価」を重視した。「ストレッサーが自分にどれだけの害や脅威になるのか」といった1次評価と,「ストレッサーをコントロールできるか」といった2次評価とに分けられている。
 次いで,「コーピング」(coping)という概念を導入した。「cope」は,「熟語本位英和中辭典」によると「負けじと争ふ」とある。生協の「coop」(cooperative)とは,関係がない。コーピングとはストレッサーに対して「打ち勝ったり,減少させたり,受け入れたりするための,認知的あるいは行動的な努力」である
 コーピングは,ストレッサーとなっている問題を直接解決することを目的とした「問題焦点型コーピング」と,ストレッサーによる情動の調整を目的とした「情動焦点型コーピング」とに分けられている。

 ラザルスの「認知的評価」という概念は,ぱっと見,認知療法的なアプローチへつながって行くことが予想できる。
 「コーピング」の概念は,ストレスに「負けじと争ふ」ための技術=「コーピング・スキル」の発見や開発へつながって行く。


 とりあえず,ストレスに関するトピックスとしては,この2つが重要だろうか。


【本日の勉強時間:3時間,「健康・医療に関する心理学」勉強時間:3時間/9時間,累計勉強時間28時間/100時間】