通訳は、話者が話を続ける限り、言葉を止めることは基本的には許されません。

 

その中で、過去に一度だけ、通訳する言葉が出てこなくなってしまったことがありました。

 

 

あるリピートのクライアントの社内会議逐次。

 

海外本社のVIPと、日本支社の社長とのミーティング。

 

会議室に入る前、VIPが私のほうを向き一言、「今日は、ハードな通訳になるかもしれないね」。

 

ん? とその時は気に留めませんでした。

 

雑談や挨拶を交わし、会議スタート。 と、開口一番、

 

「〇〇社長、本日であなたを解雇します。」

 

 ・・・へ?

 

メモを取っていた手が止まり、私は思わず顔を上げました。

 

VIPは私と目が合ったのを確認して、もう一度言いました。

 

「〇〇社長、本日で弊社とあなたとの雇用関係を終了します。」

 

私はハッとして、急いで、正確に、訳しました。

 

その後の展開はご想像にお任せしますが、私の20年+のキャリアの中で、自ら言葉がストップしてしまったのは、この時だけです。

 

 

そういえば、日本撤退が決まった外資会社の退職パッケージの交渉通訳をやったこともあったなぁ。

 

それも、始終微妙な雰囲気でした(笑)。