プロローグ


加納 夏子(かのう なつこ)26才。


銀座5丁目に勤めているいわゆるOL。


けれど、OLという響きはあまり好きになれない。
OL=Office Ladyの略らしいが、なんか古臭い感じ!


「夏子」という名前も私は大嫌い!!
だって、単に夏に生まれたからという理由で親がつけたから(≧∇≦)なんか、短絡過ぎて嫌じゃない!?


父、ひとり。

母、ひとり。

弟、

ひとりの典型的な4人家族。


いまは、神奈川県の横浜市に住んでいる。もっとも横浜とはいっても横浜の外れの外れの大和市に近い泉区。泉区って横浜市の中で一番広い区なんだって!


最寄り駅は緑園都市。不動産屋さんが、誰かにどこに住んでいるんですか?!って聞かれたら、緑園都市と応えるとちょっと優越感に浸れますよ~!って言われたから、普通はそう答えているわ。

でも、朝の通勤は弥生台駅というところまでバスなの。帰りは緑園都市からバス。

つまりぃ~!緑園都市と弥生台の中間にあるマンションに住んでいるってことね(^^)


そうそう、弥生台ってちょっと古臭い名前じゃない?!

それもそのはずなの。弥生台という名前の由来は弥生時代の土器が発見されたかららしいの。

これって凄くない?!



銀座に勤めていると云っても、販売職や事務職じゃない。
某有名メーカーのショールームで受付をしている。

そう!俗にいうコンパニオンっていうやつかな。。。


受付という仕事の多くはショールームにいらっしゃったお客様にニコッって
、笑顔を見せながらパンフレットを渡すだけ。

 

もちろん、ある程度の商品説明はするし、新商品も3ヶ月スパンで出るものだから、覚えるのも結構、たいへん。一苦労よ!

お給料は手取りで26万円ぐらいかなぁ。

同年代の一般事務の子と比べたら、お給料も決して低くないけれど、1年ごとの契約社員だから、仕事に熱が入っていないと次の年に更新してもらえないので、けっこう真面目に仕事をしているってわけ。真剣!真剣!!


拘束時間はというと、朝の10時から夜の6時までと、11時から夜7時までの2シフト制。


自宅が横浜だから、銀座まではdoor to doorで、約1時間半もかかるので通勤だけでもけっこう、大変なんだなぁ~、これが!


でも、ラッシュアワーをはずれる遅めの出勤時間帯になるので、いつも座って通勤の日々。これだけは助かってるわ(^^)


仕事は10時からだけど、30分まえには銀座に到着して、三愛にあるCAFE DOUTORで一服。でもタバコを吸わないので一服という言い方は変かな!?


賑わいを見せる、ちょっと前の銀座の街を道行く人を観察しながら、珈琲を呑むのが好きなの。。。


いわゆる、人間ウォッチング!ってやつかな。

この人の人生って幸せなのかな~とか。この人の彼氏ってどんな人なんだろ?

なぁ~んて、想像しているだけで楽しくなっちゃう!ちょっと、悪趣味??(ー ー;)


朝、緑園都市駅を7時52分の電車に乗って、二俣川駅で急行電車に乗り換え。

横浜駅には8時15分着。京浜急行に乗り換えて東銀座駅に9時20分に到着。


電車のなかではスマホをいじってることが多いけれど、たまには文庫本も読むわ。

でも、読みながらすぐに熟睡しちゃうほうだから、本を買うのは一ヶ月に一回ぐらいかな!アハッ


東銀座駅を降りたら、CAFE DOUTORまでは地下道を歩くの。地上の晴海通りを歩くと人を避けながら歩くのが嫌だから。


その点、地下道は空いててご機嫌なの*\(^o^)/*


右手の三越伊勢丹の地下入り口を眺めながら通り過ぎて、今度は銀座駅の改札口を横目に四丁目交差点への階段を昇ってゆく。


CAFE DOUTORではいつものブレンド。

コーヒーの香りに自分を包み込むと、しあわせな時間を感じるんだなぁ~、これが!(^_-)-☆


現在、恋人と呼べる彼はいない。
5年も付き合った人がいたが、1年前になんとなく別れた。
結婚を意識したこともあったけれど、「結婚」という言葉をお互い最後まで口にしなかった。


結婚という2文字を口にしない雰囲気になんか疲れてしまったのかも。


彼が悪いのではない。
きっと、自分が自分に素直になれなかったから。


彼と別れてからは、しばらくはボケーとしていた。
もちろん、仕事は完璧にこなしてはいたけれど。

女友達と海外旅行に行ったり、高校時代からやっていたテニスにも明け暮れた。おかげで地黒の夏子で通っていた!(笑)

今はオリジナルな色白に戻ったけれどね!


けれど、心のなかはポッカリと口を開いたまま、戻る気配はなし!


彼と別れたことは決して、後悔はしていなかった。
自分が納得し出した答えだったから。彼も承知したことだから。。。


けれど、なぜか虚無感だけが残っている。
5年という時間が、独りという今を縛りつけているのかもしれない。


このままではいけないわ!!
っと思い、独り暮らしをしようかと思ったら、父親の猛反対にあって断念!!


家を出ようかと思ったが、やめた。
だって、生活が変わっても、心の中は変わらないから。
心が満たされなければ、それは仮の生活でしかないから。


そして、独りの一年の月日が流れ、
そして、あの人に出会った。

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榊 慎一(さかき しんいち)31才。

銀座2丁目にある、某旅行代理店に勤めている。
この7月までは新宿にある本支店にいた。
新しく銀座に支店を出すということで、異動の命を受けてこの銀座にやってきた。
所属は法人販売課。


法人販売課というセクションは字のごとく、会社関係の旅行パックの販売だ。
まとまると、けっこう大きい数字になる部署だ。
役職は一応、課長。
部下は男4、女2。


新宿支店のときは主任だったから、一応、出世というわけ。
といっても、新宿本支店時代の直属上司に引っ張られてきたおかげでもある。
この上司は来年春には丸の内本社の販売統括部長兼執行役員になるというもっぱらの噂。

住まいは下北沢。
正確にいうと、京王井の頭線下北沢駅のひとつ手前「池ノ上」という駅で降りる。
「池ノ上」という場所を説明するのが面倒なので、下北沢で通している。だいたいが池ノ下とか池の鯉などと、からかわれるのが落ちだから!


「メゾン池ノ上」という名のマンションに住んでいる。
だが、このメゾンという響きに皆、騙される。

一度、来た人間はマンションの入り口を見渡しながら「こ、これがメゾン?」と、必ず、俺が悪いわけでもないのに、冷たい非難の目を向けてくる(≧∇≦)

学生時代から住んでいるおんぼろアパートだからだ。


6畳一間、ミニキッチンだけの風呂もない、小さなアパート。
しかも、一階が八百屋ときたもんだ。昭和レトロだよなぁー!


しかし、駅までは歩いて1分という立地。それに銭湯だってすぐ裏に3分ぐらいのところにあり、
いまどき珍しく午前1時まで営業をしているので重宝言うことなし!!


31才にして、花の独身。
そりゃぁー、31年の長い人生を過ごしてきたわけだから、それなりに恋愛もしてきた。
学生時代に本気で人を愛したが、社会人になった途端に失恋!!


これが、ちょっと、尾をひいているかもしれない。
仕事も忙しく、結婚もだんだん面倒になってきている。
とくに身体に欠陥があるとか、変な趣味があるというわけではない。いたって健康体だ。


これでも、結構、モテるほうなのだ。
学生時代から、夏はテニス、冬はスキーと、いっぱしのスポーツマンである。
今はご多分にもれず、スキューバダイビングに凝っている。
だから、一年中、真っ黒に日焼けしているわけなんだな、これが!


男にとって、結婚はよく信用と言われるが
わかっているけど、紙切れ一枚に縛られたくもない。
といって、妥協で結婚もしたくもない。


そりゃ、素敵な女性がいれば、そんな気になるかもしれないとは、思っている。
けれど、いないんだなぁ、これが....。

しかし、そんな時、アイツに会ったんだ!


     To be continued.