買い物でスーパーや家電量販店に行くと、その安さに驚く。
消費者としては、安い値段と思う一方、製造業で働く者としては、あまり安くされては困るという気持ちがある。
プラスチック、金物といった形のあるものは「型」でできている。
「金型」と言われる物がそれ。ゼリーやクッキーで言えば、まさに「型」
そこに入れる材料はプラスチックの場合は樹脂ペレット(粒)、金物の場合はアルミ地金(インゴット)にあたる。ゼリーでいえば、ゼラチン、お湯で溶かしたハウスのゼリーの素。クッキーで言えば、小麦粉の生地にあたる。
【材料】の段階では、生地原料の安さが企業の競争力となる。
高級品でなければ、国内産の高級小麦である必要はなく、海外の安価な小麦を使えばよい。
次に【製造】の段階、つまり、ゼリーの形を作る型に材料を入れてから取り出すまでも、コスト競争力がモノをいう。
ゼリーを少ない時間で型から取り出せれば、ゼリーの数量が増えるので生産コストも少なくできる。
時給1,000円の人が1時間に100個作れるのであれば、1、000円÷100個=10円/個となるが、
1時間に200個できるのであれば、1,000円÷200個=5円/個となり、1個あたり5円のコストダウンになる。
たった5円と言うなかれ!
月に100万個作るのであれば、月に500万、年間では6,000万のコストダウンとなる!
しかし、それだけでは収益は良くならない。
ゼリーを早く型から取り出すということは、まだホニャホニャの状態で取り出すことを意味している。
そんな状態で星型の型(☆)から取り出そうとすれば、尖ったところにゼリーが残ってしまうだろう。
星型(☆)にならないゼリーは不良品である。
ここで問題になるのは、製造時間の短縮を、どの時間に落ち着けるかだ。
が、ただ不良品を恐れて製造時間を長くするだけでは能がない。
そこで、必要なのが”知恵”
例えば、予めゼリーの型を冷やしておく。
そうすると、今までよりは製造時間が少なくなる。
このように、相反する状況の中で打開策を見つけるのことが、製造業の競争力を伸ばすのである。
企業での役割を説明すると
【設計】は抜き易い型の設計をする。☆型なら六角星から五角星にする。
【生産技術】は、ゼリーを上手く型から抜く方法を検討する。
設計と生産技術の連携の必要性が問われるのは、設計がデザイン部門から要請された形を、そのまま作ると、型から上手く抜けなくなって不良品がたくさんできるといった事態を未然に防ぐため。
そこで、型を設計する時から、両者が情報交換することが求められるのだ。
この点、トヨタの連携が素晴らしいのは言うまでもない。
ちなみに製造の前段階では【商品企画】、【デザイン部門】の存在がある。
(最近では【営業部門】も要望をリクエストも強くなってきているのだが)
そろそろ六角形のゼリーが流行りそうだ!流行る!と考えれば、商品企画部門は、そのコンセプトをデザイン部門に要請する。
これを受けて【デザイン部門】は六角星をデザインするのだが、アーティストではないので、ただ単にカッコいい、かわいい六角星をデザインすればいいわけではないのだ。
型から抜きや易くて、わかいい六角形のゼリーをデザインしなければならないのだ。
工業デザイナーなのだから。
そして、【営業】、【広報】が、”ぷりぷり カワイイ 六角星ゼリー”を発売するのだ。
発売後、コンセプトが当たって、バカ売れすると競合者も”六角星”を真似てくるので、発売当初よりは上層力が落ちる。
となると、今度は”七角星”となるわけだ。
お客様の要求が高くなると(この場合は星の角数)、設計、生産技術に要求されるレベルが高くなる。
七角星で抜きやすい型を設計して、型崩れしずらい抜き方を考えるetc・・・
このようにして、お客様の要求を汲み取ったり、先取りして企業は競争力を維持していくのだ。
常に先手先手を打って・・・
その為に必要な原動力。
単純なこと。
自分が商品を好きであること。
そして、お客様が商品に出会って喜び、購入して喜び、使って喜ぶことを、自分も嬉しいと共感できること。
こんな気持ちを持てれば、サラリーマン生活は悪くはない。
いや、楽しいはずだ。辛くとも。
もし、就職活動生が読んでいるのであれば、この記事を心の片隅に置いてほしい。
また、仕事に悩んでいる新社会人がいれば、上記のことを頭において、もっと担当業務、会社を把握してマスターしてほしい。
それからでも、次のステップを考えるのは遅くはない。
なぜなら、自分もそんな経験をして、今の自分があるから。
と、今日はマジメに書いてみました。