旅話、、昨日の続きをどうぞ!


☆☆☆


暗闇の中を走ること数分、、いかにもインド!というようなエキゾチックかつ立派な門をくぐり、ゴージャスな建物に到着した。




高級外車が続々視界に入ってくる。




うわぁ~、ベンツにポルシェ、BMWだぁ!




きらびやかなサリーを身にまとい、高級ブランドバッグを持った貴婦人が車から出てきた。




しかもドえらいベッピンさん!インドのベッピンさんはハンパじゃない。




その女性をインド民族衣装を着て、頭にターバンを巻いた男がエスコートする。




どうやら、エスコートしているのはこのゴージャスな建物の従業員らしい。




私たちの車の番になり、そのターバンを巻いた門番にエスコートされる順番が回ってきた。




ハウァ~!!




アタシ、ビーサン・よれよれタンクトップ、タイパン(フィッシャーマンパンツ)という格好。




しかも極め付けにおさげ髪。




どう見ても国籍不明・年齢不詳の魚売りである。




紳士よ、、こんなところに連れていくつもりなら先に言ってくれよ~、そしたらちょっとマシなアレンジを試みたのに。




門番私を見て一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに最高のスマイルでエスコートしてくれた!




アンタ偉いよ!人間は見た目で差別しちゃいけないよ!笑




まあ、場違いもいいとこだったが、紳士とともにゴージャスな空間に潜入した。




ん?




レセプション、、?




ホテルかここ?





気づくのがだいぶ遅いのだが、ようやくホテルだとわかり、あれこれ危惧し始めた。(←遅すぎ。)




万が一、この紳士に「部屋取ってあるから」などと、ドラマや映画にしか出てこない台詞を言われたらどうしよう・・・




いやいや、こんな魚売りみたいな格好をしてるんだから大丈夫だろう。




きっと紳士はきらびやかなインド金持ちの世界を私に見せたいだけなんだ!




と前向きに考えることにした。




紳士はホテル内のゴージャスバーに案内し、お洒落な飲み物を頼んでくれた。




紳士に対して警戒し始めた私は自分が口をつける瞬間まで変な薬を入れたりしないか、細心の注意を払った。




なんか、今のシチュエーションって一体、、




インドに来たばっかりなのにこんなマハラジャレベルしか来ないような空間でアタシ、何してるんだろ。




周りを見渡せば、外国人か金持ちインド人だらけだし。。




バックパッカーが来るようなところじゃない。




こんなマハラジャ空間を始めに見てしまったら後の旅が悲惨だ。




そして飲み物を半分まで飲んで、、「明日デリーを出るわ。」




と紳士に話かけた。




と紳士は驚いた表情で「stay.」




と言った。




「stay with me...」




と潤んだ瞳で私を見つめ、顔をどんどん近づけてくる。




え?えええええええええ!




私は後ずさりをすると、どんどんまた紳士の顔が近づいてくる。接吻攻撃だ!




ムリムリ。




は、そうだ!




私には秘密兵器があるではないか。




トイレに行く!と立ち上がり、、トイレであるものをポーチから出した。




私のお守り。。




渋谷スペイン坂にある大中で300円で買った指輪だ。




300円のくせにやたら高そうに見える優れものである。




トイレから意気揚々と出てきた私は、紳士に「私結婚してるの!」




と指輪をちらつかせてみた。




紳士は「フン。」と鼻で笑うと、「結婚してる女性が一人旅なんかするわけない。」




と言うと、猛烈アタックをまた開始。




めんどくさくなり、「あなた本当に政府観光局の人?」




と問いただした。




「もちろん、嘘言うわけない。僕はインドで有名な大学を出て、日本にも少し留学したことがあるんだ。」




「日本のどこのなんて言う大学に留学したの?」




いつもひるまない紳士がその問いかけに一瞬ひるんだのを私は見逃さなかった。




1つの嘘をつくものはだいたい幾つも嘘をつくものだ。




マハラジャ空間を見れたのはラッキーだったが、もうこんな豪華さもお腹いっぱい。




もう帰って、荷造りをし、明日にでもデリーを出よう。




旅のプランなんて立てなくていい。




私は紳士の口説きを丁重に断り、自分の分のドリンク代を払うと、紳士と一緒にそのホテルを出た。




そして、エントランスの門番にニッコリ笑いかけ、その立派なターバンを見つめた。




「good!」




魚売りの異国女にイキナリほめられて若干驚いていたが、さすがはマハラジャホテルの門番、ナイススマイルで切り替えしてくれた。




なんだかその顔は「今度はもっとマシな格好で来いよ!」と言っているようだった。。


つ☆づ☆く