気候もよくなり、四人は二度目のキャンプに来ていた。焚き火の火がゆらゆらと揺れ、夜の森にパチパチと音が広がる。

「やっぱり外で飲む酒はうまいな」浩二が笑う。

「ほんとですね」孝もグラスを持って頷いた。

奈々子は楽しそうに二人を見ている。


その様子を見ながら、絵里子の胸にはふと昔の記憶がよみがえっていた。大学の頃、浩二に浮気された日のことだ。相手が女性ならまだ違ったのかもしれない。だが、それが男性だと知った時の衝撃は大きかった。


「絵里子、どうした?」浩二が気づいて声をかける。

「ううん、ちょっと昔思い出してただけ」


絵里子はワインを口に運びながら、静かに続けた。

「浩二の気持ち、少しは分かろうと思って…昔ね、女性用風俗を体験したことあるの」


三人が一瞬驚いた顔をする。


「え、本当ですか?」孝が目を丸くする。

奈々子も少し照れたように笑う。


「静かな部屋でね、すごく優しく触れられて…女としてドキッとはしたよ」


焚き火の光が絵里子の横顔を照らす。


「でもね、不思議と恋とは違ったの。ああ、私はやっぱり男の人を好きになるんだなって思った」


浩二は少し黙って火を見つめていた。


「…そうか」


絵里子は小さく笑う。


「だからさ、あの時はショックだったけど、今は浩二のこと少し分かる気もする」


夜の空気の中で、四人の間に静かな時間が流れた。焚き火の火だけが、ゆっくりと揺れていた。