四国八十八ヶ寺 

第39番札所 延光寺

御本尊 薬師如来様

御真言 

おん ころころ せんだり そわか


薬師如来様は、人々の病気平癒、特に眼病平癒で知られている如来様です。

手に薬壺を持っておられるので、薬師如来様と判り易いと思います。


以前の記事に、お寺にはいろいろな言伝えや謂れがあると書きました。

このお寺にもその言伝えと、その痕跡が

しっかり残っています。


お大師様がこの地を訪れた時際、持っている鉛杖で、地面を突き刺したところ、

そこから泉が湧き出したそうです。


その泉で目を洗った所、目が見えるようになったと言う言伝えがあります。


その泉は、お寺の本堂の横にあり、今もなお、水が枯れることなく残っています。

上の写真がそうです。


私もこのお寺を訪れた時に、その水で目を洗わせて頂きました。

すごく、手触りが軟らかなお水だったのを覚えています。



私の祖母は成長期の栄養不足がたたり、

50代後半から弱視になり、年齢と共に見えなくなって行きました。


何せ、貧乏な家に生まれ、8人兄弟の長女、少い食糧も、戦後の食糧難も女手一つで3人の子供を育て、自分が食べるより、兄弟、子供が先だったのでしょう。


晩年は殆んど見えなくなり、昼間にぼんやり明るさを感じる程度でした。


自分の目が、

徐々に見えなくなっていく…


考えただけで、恐怖で頭がおかしくなりそうです…


明日の朝、起きた時…

全く見えなくなってたらどうしよう…


祖母はその恐怖感と毎日、戦いながら生きていたのかと思うと…


切なくてたまりません…


祖母と母の介護に追われていた頃…

何処にも出掛けられない訳ではなかった。


このお寺に来て、

このお水をペットボトルに入れて持ち帰り、祖母の目を洗う事だってできたはず…


そうしてたら…

少しでも目が良くなったかもしれない…

失明の進行を遅らせたかもしれない…


もしかしたら、お大師様のお力で、

奇跡が起きたかも…


なんて…

たられば言っても仕方ないけど…


その頃の私は、札所巡りをするなんて微塵も考えていなかったのだから…


札所巡りを始めたのは、祖母が亡くなって、暫くしてから…


ただ…

今更ながら、思うのです…


何故 もっと、ケアしてあげなかったんだろうと…


なんで、もっと寄り添ってあげなかったんだろう…


少しでも、見えなくなる恐怖感を和らげてあげられたかもしれないのに…


その事を本当に悔やみます…



口うるさくて、少々煩わしい所も有った祖母でしたが…

心配性がゆえの事だったと思います。

いつも誰かの心配をしてたから…



ごめんね…おばあちゃん…

もっと もっと…

してあげられる事、たくさんあったのに

ごめんね…

今更遅いけど…ごめんね…


このお寺の庭にも咲いていたよ…

石蕗の花…


いつも一緒に遊んだ庭と

よく似てるよ…おばあちゃん…



薬壺を持った仏様が、薬師如来様だと

可愛らしい黄色い花の名前を

教えてくれたのも祖母…


このお寺に来る度に、思い出す…

切ない後悔と共に…




石蕗(つわぶき)の花