スタート
現場での初日、指定された時間に空港カウンターの前へ集合した。
「昨日、寝れた?」
「…あんまり。」
緊張で張り詰めている私達。
総務担当が笑顔で迎えに来てくれた。
その笑顔にとてつもなく救われた。
社員証やロッカーキー、制服の貸与。
一通りの事務手続きを終え、総務担当が言った。
「それじゃ、制服に着替えたら皆に紹介するからね!」
手が震えて上手くスカーフが結べない。
他の同期も同じ様だった。
無言でお互いのスカーフを直した。
スカーフを直してくれた、頬に一瞬触れたその手の暖かさに安堵を感じた。
配属先の先輩がずらっと並んでいる。
「今日から配属されました、●●です!宜しくお願いします!」
出来る限りの笑顔と声で、スタートを切った。
お疲れ様。
制服の採寸を終えた浮き足立った私達に、教官が声を出した。
配られたプリントには、明日からの出勤予定が書かれている。
15人。
肩を並べて来た私達は、明日からはバラバラ。
それぞれの班に振り分けられる。
「明日からは、各班でのOJTになります。今日まで学んだ事を忘れない様にね。本当にお疲れ様。」
“お疲れ様。”
厳しい教官が少し、微笑んだ事。
今でも覚えている。
張り詰めていた糸が、パンっと切れた。
なんか、泣けてた。
制服
約1ヶ月。
基礎訓練が終わりを告げた。
テストやデモンストレーションも無事に乗りきった私達は、心なしか痩せていた。
いや、やつれていた・・・。
今日で終わり!
という安堵で包まれた私達に、制服の採寸が行われた。
サンプルに袖を通す。
憧れのスカーフ。
黒いストッキングに、ガチガチにセットされた髪の毛。
鏡に映った“それらしい”雰囲気に、お互いがお互いを褒めあう。
それを横目に、教官はただ厳しい眼差しで私達を見つめていた。