弐:人魚姫【教養と真心・隣の国のお姫様】童話と道徳と精神と行為 | 童話と道徳と精神と行為

童話と道徳と精神と行為

命は一個 人生は一回 命を守るのは真心
だから大切ね「真心」



王子は「あの日」と同じように
船上で結婚の御祝いの宴を催していました

あの日…とは
自分の誕生日のお祝いの宴の夜
今日と同じように
盛大に祝賀した夜
嵐に飲み込まれた夜のことです

違うのは あの日いなかった
愛しい人が直ぐ横にいること

花嫁に迎えたことです

「可愛い拾い子」と呼んで
幾日もその腕に抱いた 自分を一番に慕う娘の
祝いの踊りを見ている

それは 今までに見たこともないくらい
見事な踊りで みなが褒めそやす様をみる


王子と姫君は 幸せのうちに
その祝いを受け取る

王子は美しい花嫁にキスをし
花嫁は王子の黒髪を撫でる
手と手を取りあい
立派な天幕の中に入りやすみました

二人は確かな約束契約の元
祝福されて 結ばれる

明け方 天幕を動かす気配を感じるのよ
王子は起きない

姫君は そっと様子を伺う

人魚姫がキラリと光るものを手に持ち
王子にキスをする

身構えたに違いないのよ
そうとは気が付かれないように…

そのうち人魚姫は光るものを海に投げ捨て
自分も飛び込むの

姫君は慌てて 海を覗き込むのよ

だからよ

『お二人は、姫が波の中に身を投げたことを知ってでもいるかのように、波の上に漂っている泡を悲しそうに見つめています。 』

そう 書いてあるもの


隣の国のお姫様は 教養を身につけていて
その立場を考えたら
危機的状況に何をすれば良いのか
そんなことも 知ってるはずだもの

ナイフを持って 寝やに忍び込む者…

気がつかない訳が無いのよ


隣の国のお姫様は その時
全てを悟ったはずね

人魚姫の想いも
王子との関係も

人魚だとは わかんないだろうけどね

その後 この二人の関係がどのように
育まれたのかは…

たぶんね
たぶんよ

王子様は 隣の国のお姫様の掌で
その 尻に敷かれて
なところだと思ったりするのよ(*´ 艸`)


隣の国のお姫様は真心の人でした
それを証拠づけるところ あるのよ

物を言う目を持つ人魚姫は
人の目を見ること
しないはずないの

自分がそうだからよ

ちゃんと 観る

そんな人魚姫が思ったの
真心のこもった青い目
隣の国のお姫様の目には
真心が現れてたのよね

それから
王子の一途に愛する気持ちからも
見てとれる

助けてもらって
どんなに親切に介抱してもらったのかが
伺い知れる

お喋りしたのよ
元気になるまでに
会話の中から
接し方から

その人となりが滲みでない訳が無いもの

隣の国のお姫様は
賢くて優しくて美しい
真心の人だったのよね





花嫁は聞きました
きらりと光るナイフの先に…

自分の名前を…


「人魚姫は鋭い短刀をじっと見つめては、また王子の上に目をこらしました。その時王子は夢の中で花嫁の名を呼びました。王子の心の中にあるのは、花嫁一人だけだったのです。」

こんなに深く愛するのよ
素晴らしい人に違いないもの!

それから こんな風にも
考えるの

人魚姫と隣の国のお姫様の違い
これね

とても肝心で知っておかないといけないところだと
思うのよ

そこには
仮初と想い初めるの違いが観てとれるもの

それは
人魚姫の行く先を視れば
観えてくるのよ

泡の先の世界のお話です