こんにちはrieです![]()
今日から8月ですね。夏バテに注意しながら乗り切っていきましょう![]()
さて、私たちが普段意識していないけれど
うまくいかなくなって、そのありがたさに気付くのが【 健 康 】
そんな健康について、看護師の免許を取得するための試験ではどのような問題が出題されているか
それを見ながら、健康について話していきたいと思います![]()
111回 看護師国家試験問題
34 健康を人々の権利として明記したのはどれか。
1.世界保健機関<WHO>の健康に関する定義
2.ジュネーブ宣言
3.世界人権宣言
4.リスボン宣言
看護学生の皆さんは、ひとまず回答してみましょう!
それでは、解説にうつります

世界保健機関(WHO)の健康の定義
世界保健機関(WHO)の健康に関する定義ですが、読み解くのが難しい![]()
単純に健康の定義で言えば、下↓の2つにあるように権利とは明記されていません
ここでのキーポイントは『WHO憲章』です
日本WHO協会のホームページでは
1947年に採択されたWHO憲章では、前文において「健康」を次のように定義しています。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」
テキストではこのように表現されているものもあります
「健康とは、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であり、単に病気がないとか虚弱でないということではない」(Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity)
実はここで終わりではないのがポイント![]()
WHO憲章の健康の定訳は最後まで覚える必要があります
「健康とは、完全な 肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」
出てきましたね
「健康は基本的人権の1つである」
WHO憲章の前文にはこのような文があります
人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、あらゆる人々にとっての基本的人権のひとつです。
(The enjoyment of the highest attainable standard of health is one of the fundamental rights of every human being without distinction of race, religion, political belief, economic or social condition.)
人権については最後のコラムで話しますね
この考え方は2015年国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals(サスティナブル・デべロップメント・ゴールズ)」持続可能な開発目標 SDGsにも反映されています
目標3.
あらゆる年齢のすべての人々の
健康的な生活を確保し、福祉を促進する
いつの時代も健康というのは生活の基盤になるものでもあることがわかりますね

医療と倫理
急に倫理という言葉が出てきてドキッとしたかもしれませんね
人権や権利を話す時には倫理も一緒に考えていく必要があります
医療や看護の世界で行われる研究は人を対象としたものが多いため
研究に参加してくださる方(患者さん)にとって善いこととは何か?
患者さんの知る権利、参加する自由、参加しない自由など人として尊重される必要があります
看護の世界ではナイチンゲール誓詞が知られています
(私も戴帽式で宣誓するために必死で覚えた記憶があります
)
医師の場合は古くは、ヒポクラテスの誓いが有名
その次に出てくるのが、このジュネーブ宣言
1948年に世界医師総会で採択された医師の誓いです
看護倫理もしくは医療倫理で学んだ内容ですね
ここら辺は歴史の年号みたいに覚える必要があるので、苦手な人も多い![]()
実際、歴史とも関係があります
1948年ということは1945年が日本では終戦の年になります
ジュネーブ宣言が考えられた背景には戦争の影響があります
戦争で捕虜になった人、戦争に反対するなど、その当時では犯罪のような扱いを受けていた人
人種的な背景などを持つ方々を同意なしに化学兵器(生物兵器)を試され亡くなっていった
という悲惨な過去があります(それ以外にも人権侵害は多数報告されています)
その反省をふまえて、
1947年に医学研究(人を対象とした実験)の基本的原則がニュルンベルク綱領にまとめられます
人を対象とした実験(医学研究)には医師も立ち会います
その時に医師として患者さんに対する誓いとしてのジュネーブ宣言
患者さんの権利を守るためのリスボン宣言
この2つが現在の医療の世界でも重要となっています
リスボン宣言(患者の権利に関する宣言)が1981年世界医師会で採択されます
一時期、病院のロビーにリスボン宣言をもとに自院の患者の権利をまとめたポスターが掲示されたところもあります
リスボン宣言の原則は11
(細かい内容を覚える必要はないですが11の数と権利は覚えましょう)
1.良質の医療を受ける権利 ← 国試では頻出問題のキーワード
2.選択の自由の権利
3.自己決定の権利
4.意識のない患者
5.法的無能力の患者
6.患者の意思に反する処置
7.情報に対する権利
8.守秘義務に対する権利
9.健康教育を受ける権利
10.尊厳に対する権利
11.宗教的支援に対する権利
実は111回の他の問題とも関連してきます
5 患者の選択権の行使を最も促進するのはどれか。
1.父権主義
2.医師の裁量権
3.コンプライアンス
4.インフォームド・コンセント

人権とは何か
最後は、世界人権宣言
これは1948年に第3回国連総会で採択された
「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」を示したものです
第25条
- すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。
ここにも健康の権利と記されていますね
私たちは健康を保持する権利があります
これは日本国憲法でも保障されています
国をはじめ、市町村や企業、その他医療機関や健診機関が健康づくりを支援するのは、医療費の抑制や生活習慣病の予防だけではなく、健康であることが生きていく上で重要と捉えているからでもあります
今回の回答は1、3となります(またしても不適切問題でした)
健康や患者の権利の重要性が示された背景には戦争からの教訓がありましたね
高校で地歴公民が苦手だった方も、この時期に復習しておきましょう
近代の歴史と医療や看護の歴史は関連して覚えておくと
出来事の背景がわかって問題を解く際のヒントになりますよ![]()
