独断と偏見のエレクトロニクス CDってプレーヤーで音が変わる? | rie--poohのブログ

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MS支配脱却!!!

2024-04-26 先月のことである。今のところ一カ月に一度一晩滞在するだけの旧宅で、布団に潜ってCDを聞いていた。DENONのミニコンポである。ミニとはいえ高級志向で、中の銅線が透けて見えるぶっとい平たいケーブルでつながれた二つのスピーカーは、小さいながら木製(らしい)。そのスピーカーの下に敷く、真鍮製の駒もついてきた。でも、それはもう20年近い昔の話。まだDENONがデノンではなかったころの時代ではないだろうか。
聴いていたCDはジョン・ウィリアムズのアルバム。アメリカ人の超有名な映画音楽のコンポーザーではなく、同姓同名のイギリス人ギタリスト・・知る人ぞ知る、ビートルズの時代にスカイというバンドで演奏していた人のCDだ。
うつらうつらしかけたころ、突然キュルキュルと異音が響いた。はっとして見ると、再生が止まっている。CDを入れ直し、もう一度再生ボタンを押してみる。永遠に近い時間が経過した後、「ディスクが認識されない」とエラー表示が出る。何回か試した。結果は同じだ。愕然とする。修理に出そうか?う~ん、購入してからの時間が立ち過ぎている。経年劣化を考慮するなら、買い直した方がいい。
あのころは稼ぎがあった。今は年金生活。一カ月に一度一晩滞在するだけの場所のために新しい機材にまとまったお金を出す余裕はない。安いCDプレーヤーを買って、AUXでつなぐことができるのではないだろうか?
その時、思い出した。今の住居に殆ど使う機会がないままになっているCDプレーヤーがある。古いパイオニアのミニコンポのCDプレーヤーが故障したので、DENONのミニではないコンポ用のCDプレーヤー(安くなっていたので)を購入した。その後、新しいミニコンポを購入したため、使う機会がなくなってしまったのだ。それを別宅に運べばいいではないか。
唯一の問題は、このCDプレーヤーがDCD-755REという機種で、40*30*10cmほどの大きさだということ。覚悟を決め、プチプチでくるみ、トートバッグに入れ、高速バスの網棚に載せて運んだ。
別宅に運び、ミニコンポにAUXとして接続し、前と同じジョン・ウィリアムズのCDを入れてスイッチオン。
何なんだ!!この音は??衝撃である。
同じCDなのに、ミニコンポの内蔵CDドライブで再生していた記憶の中の一か月前の音と、同じアンプとスピーカーを通して聴くCDプレーヤーで再生した音とが、まったく違って聴こえるのだ。それは、苦労をして運んできたから、といった精神的なものがあったとしても、それを差し引いて余りある大きな違いだ。
前の音に不満はなかった。
今回の音はすばらしい。
鮮やかに際立って聴こえる。音の切れがいい。音に奥行があるというか、立体感を持って無音の背景からぐぐっと立ち上がってくる。
CDに記録されているのはデジタル信号だ。再生も全て数字に支配されていて、厳密に再現されるはずではないだろうか?
CDは高速回転する。動く部品には値段の差が出ることは経験から学んでいる。安いものは回転音がシュルシュル聞こえてきてうるさいし、すぐに壊れる。CDを回転させるモーターの安定性は、高価な製品のほうが優れていると考えて間違いないだろう。高価なもののほうが耐久性だって高いはず。
周辺の部材も軽いプラスチックでできているよりは、重量のある金属製のほうが、モーターが回転したときに振動しにくいはずだ。当然ながら、金属で作る方がお金がかかるだろう。
ミニコンポのように、函体が小さいと、狭い空間に隙間なく部品が押し込められる。部品の振動や熱、電気的な影響は他の部品にも及びやすいだろう。私のミニコンポには、CDプレーヤー、MDプレーヤー、AM/FMチューナー、そしてアンプが入っている。一方のデッキのCDプレーヤーの函体は、ミニコンポを上下に割って横にならべたくらい、ほぼ同等程度の容量がある中にCDプレーヤーの機能だけが入っている。中に収める部品の選択肢も広がるだろうし、その配置にも配線にも十分な余裕があるはずだ。

そういう違いがあったとしても、CDの音そのものが本質的に変わるとは思えない。音を変えているものは何だろう?

分からないことはネットで調べてみる。
どうやらDACという装置で差が出るらしい。CDから読み取ったデジタル信号(Digital)を音を出すためのアナログ信号(Analog)に変える(Converter)・・それがDACだ。
試みにデッキの仕様を調べてみる。(既に製造中止になっている機種だが、メーカーのウェブページには情報が掲載されている。)
いろいろ効能がありそうなことばが並んでいる。デジタル/アナログ変換の精度を決めるのはクロック。このデッキに使われているクロックは高精度で、信号経路もシンプル&ストレート化を徹底することで、回路上での信号劣化を防いでいる・・etc。
電気が何をしているのかよく分からない。
でも、賢く設計すれば、そしてある程度のお金を注ぎ込めば、大きなCDプレーヤーをトートバッグに入れて肩の痛みをこらえながらえっちらおっちら運んできたことを後悔させないだけの違いを生み出すこともできるのだ・・ということだけは分かった。