新聞広告が出ていた本

新井素子さんの別の小説が今話題になってるみたいで、これとは別にこんな本もあるよ、という宣伝

それ見たらすごく気になって、所蔵している本だったので即出してきて再読した

 

新井素子さんが令和2年~3年に書いた作品で、単行本出版は平成4年頃 。文庫版出版は平成7年

お、恐ろしい年月が経っているガーン

 

所蔵しているので何度か読み返したことあるけど、今回は本当に久しぶりに再読。あらすじや結末等記憶にあるので、別に初めて読むような感情はない

 

でも久しぶりに読んでまずすごく時代を感じた

 

そう。

新井素子さんがこれを書いていた時代は、24時間戦えますか、というフレーズのドリンク剤のCMをよく見た時代…じゃなかったかな(きちんと調べてないから断言はできないけど)

今は有休は絶対5日取らないと会社にペナルティが発生するというほど「休み推奨」の時代になりました←家族経営とか本当に小さい企業の実情はわからないけど、少なくともこの小説に登場している「春さん(主人公の旦那さん)」の会社規模は法律順守する規模の会社であろう

休日潰しての接待ゴルフや深夜遅くまでの接待飲み会も、羽振りの良い時代はもうすぎた。今は縮小している企業は多いでしょう。

 

また主人公・坂田三津子さん=みっちゃん がラジオ局でハガキの仕訳のバイトをし、子供たち(中高生だろうか)の間の噂話をハガキから仕入れる というのも、今はもうメールが主流?

ハガキを読むことでみっちゃんの精神の変調を加速させる「宇宙人」「白い虫」に関するうわさだって、今なら簡単にネットで検索できる。子供だってネットを触れる時代ですもんね。

ネットが当たり前の今だったらみっちゃんの精神はもっと加速してヤバくなってた、かもしれない?

逆にラジオ局のバイトはない、かも?

 

という、30年前の世の中の状態にいささか驚きを感じてしまうくらいだったけど、そんなもの些末なことになるほどグイグイグイグイ読み進められた作品でしたね

 

春さんの仕事の忙しさ具合は、みっちゃんでなくても心配しちゃうし、30年前はこんなのがまかり通ってたことにゾッとする

♪24時間戦えますか ジャパニーズビジネスマ~ン ってリゲインのCM、やっぱり異常だったよ。それで過労死しても会社は責任を取ってくれるわけじゃないんだよ  

恐ろしい時代だった。

でも当時はそれは別に珍しいことでもなかった。現にあんなCMが作られる位だもの

 

みっちゃんがだんだんおかしくなってくるのもじわじわ来る怖さ。確かに元々の性格が「何かに依存しがちな性格」だとしても、旦那さんへの異常な愛情・依存は怖い。

けど一方で春さんの働き方を見ていると、平成から令和を会社員として過ごしてきた一読者としてもみっちゃんの気持ちわかっちゃうんだよ… 

みっちゃんほど旦那さん一人に依存しきっていなくても、大事な家族にはできるだけ長く健康でいてほしいと思うもの。どう考えても春さん=旦那 の働き方はおかしい。いつか健康上の大変な問題が起こる、って誰でも思っちゃうからしんどい

 

またスト―リーの流れを知ってるだけに、みっちゃんの唯一の友達の間久美がみっちゃんにラジオ局のバイトを世話するくだりでは「あーーーそれはだめなんだよ久美ー」って読みながら思っちゃったよ。この仕事でみっちゃんの精神、加速しちゃうんだもの。でもみっちゃんがそうなっていくなんて誰にも予想出来ないことなんだもんねぇ

 

大半がみっちゃんの日記で構成されてるというのもこの作品の特徴。

みっちゃんの内面・不安・精神の均衡がだんだんおかしくなってくるのを読者は直に?読んでいるのでその危うさに冷やっとする

 

こうして令和の、会社の在り方がそれなりに変化しつつある今改めて再読するとみっちゃんの精神状態うんぬんよりも、春さんの働き方が一番怖い。これもある種のホラーだと思ったよ

 

 

そして最終局面で本のタイトルのように「おしまいの日」になり、

春さんと久美さんが会話し、時間が飛び、久美さんがみっちゃんの告白手紙を手にし当時どんな状況だったか知り… 

最後のページを読んた時、結末を知っているのに、なんだかちょっと放心状態になってしまった。

数年後の春さんの状況が、新井素子さんの独特の文章で、3行で語られ、ページをめくるとみっちゃんの想いが…。そして終わり

 

新井素子さんの独特なあの文章が、想定以上に心に来た最後。 

↑私の文章の書き方もちょっと影響を受けがち(笑)

 

以前読んだときの事は全く覚えてないけど、再読して「あー面白かったー」というありきたりの言葉ではない何かが残りました

何年もたって再読したら今度はまたどんな何かが残るんだろうか…

 

やっぱり新井素子さん好きだなぁ