音楽朗読劇 VOICARION 女王がいた客室
8/29(月)19:00開演 シアタークリエ
出演 石田彰さん 保志総一郎さん 三森すずこさん 竹下景子さん
朗読劇、また行ってきました!!
ちょっと面白い趣向で、同じ演目を複数の役者が演じます。
竹下景子さんのみ全公演通し役。
だから、役者によっては同じ脚本なのに全く雰囲気が違ったものになると予想します。
特に、平田弘明・山路和弘・水夏希チーム(敬称略)なんて、すごい渋い配役で興味がありますが、いかんせんチケット代が高いので、大本命・石田さんのみ観劇。
今回は、ロシア革命後の貴族の話。
皇女アナスタシアが生きていた?というネタも絡め、クライマックスは思わぬ展開で泣けました。
石田さんはあるホテルのコンシェルジュ。
そこに客としてやってきたのが、大金持ちの貴族のご婦人(竹下景子さん)と、彼女に仕える保志さん。
実はこのご婦人、ロシアの皇后(革命で滅んだロマノフ王家)亡命しているので身分を明かしていません。
石田さんと保志さんは実はロシアの亡命貴族でした。10年前のロシア革命の時、ロシアを脱して以来10年ぶりの再会です(別れた当時、いつか貴族社会を復興しようと約束してた)
ホテルのコンシェルジュとしてキッチリ真面目でお堅い石田さんと、
軽くて大雑把で調子のよい保志さんのやり取りが面白かった物語前半。
途中、ご婦人が実はロシア皇后だと発覚。
ボケているわけではなく、あの辛い革命という現実から目をそらして、妄想の中で生きているだけという種明かしが。
そこで保志さんは皇后陛下が持つ「秘宝系のお宝」を狙ってると告白。
彼女が死ねばこのお宝は諸外国に奪われるんだから、そうなる位なら自分らが入手して、今なお困窮しているロシア亡命貴族の為に使うべきだと。
そこで保志さん・石田さん・三森さん(ホテルの客室係りで、皇后の孫のアナスタシアに似てるという事で、皇后陛下から気に入られていた)の3人で秘宝探しをすることに。
ただこの物語の中では、秘宝探しには全く重きを置いていない。最終的には秘宝探しをあきらめることになりましたしね。
この脚本のキモは、
・石田さん・保志さんが、今それぞれの仕事をしつつ「ロマノフ王朝や貴族の復興」を願ってた。
・皇后陛下は、あの革命ですべてを奪われた現実を受け入れていなかった。
結局3人とも、過去にとらわれて生きてたわけですが、あの時間はもう2度と戻らない。貴族の時代は終わったのだという事をきっちり受け入れ、やっと前を向くことができた、というものではないかと思います。
1回しか見ていないので、ハッキリそうだと断言はできませんが。
休憩を入れて2時間弱の朗読劇の中で、登場人物全員が最初と最後で全く雰囲気が変わる感じを受けた ので、そういう事なのではないかと解釈しました。
で、このホテルの従業員は全員ロシアの亡命貴族だったんですね。
現実を受けいれ、皇后陛下がホテルからの出立を決意した前夜、従業員全員で皇后陛下の為に舞踏会を開く。
陛下の出立も、在りし日の宮廷で皇帝陛下が外出する際お見送りする貴族の行動(お見送りの儀式?)をそのままやる。
表向きはホテルの従業員と金持ちマダムの客ですが、本物の皇太后と貴族ですから。
つまりはもう2度と戻らない時間の再現…
従業員(貴族)もマダム(陛下)もどんな思いでそれを行ったのか。想像すると切なかった。
お見送りの儀式の時、竹下景子さんのあるセリフが「ここであのセリフが生きるのかっ!!」と、一気に涙腺が緩んだほどです。
たった4人の演者で朗読してるのに、その場の情景(たくさんの従業員=貴族がいる情景)とかみんなの心情がすごく伝わってきました。
役者の演技力と、舞台演出・音楽・セット。
すべてが相乗効果で素晴らしいシーンでした。
石田さんの役と保志さんの役は、3段階に気持ちの流れが変わる感じですかね。
序盤→10年ぶりに再会して、お互い懐かしい(観客にはまだロシア革命絡みの事は明かされていないので、旧友との再会の延長上)
中盤→陛下と接していくうちに革命当時の苦悩・貴族の「もう戻らない良き時代」を思い出してのせつなさ・苦しさ
ラスト→時代の流れを受け止めて、人生の再出発
1回しか見ていないので比較できないけど、石田さんと保志さんなんかは気持ちの流れを明確に演じ分けていたのではないだろうか?
これやっぱり2回は見たい!!
お金に余裕があれば、他のキャストでも見たいっ!!
特に石田さんの役は…って、石田さんしか見てないんだけど(公演中ほぼ石田さんしか見ていません。オペラグラスでひたすら凝視)
革命前は貴族と言っても陛下に拝謁できるほど高位の貴族ではなかったみたいです。ただ1度だけ陛下の前でピアノを披露したことがあるそう。
皇后陛下の身分がわかったあと、表向きはホテルのコンシェルジュと客として、ごあいさつ・話し相手になりました。
当然、自分は元ロシア貴族だったという話になる。
陛下側は「ごめんなさい。あなたの事は覚えていないわ」となるんだけど←また、竹下さんのセリフに言い方がいちいち素晴らしいんですっ!!
伯爵だけで2~300いるんだから覚えてないのは当然ですと、やんわりそういう石田さん。でも寂しそうなのが切ない。
で、ピアノ演奏を所望され、弾いているうちに過去を思いだし耐え切れず中座してしまう部分も切ない。
その後もう一度弾くんだけど、この時に陛下が「1度だけ演奏を披露した時の事」を思い出してくれたんですね。
10歳かそこらの男の子が自分の為にピアノを弾いてくれて、その子がどんな衣装を着ていたか思い出した。
「あの時の少年があなたなのね」って感じです。
ここ、すごく感動したっ!!
貴族と言ってもいろいろですが、石田さんの貴族設定は穏やかで陛下に心から忠誠をつくすような貴族です。
だからきっと、幼いころ一度だけ御前でピアノを弾いた自分を覚えていて下さった、というだけで今までの苦労が報われたとさえ思うのではないかと。
陛下が覚えててくれたという感激もあるけれど、同時にそれは「2度と還らない幸せだった日々」でもあって。そういう諸々の感情があふれるシーンは圧巻だったです。
石田さん、少し涙声だったような気がするし、客席は泣いてる人もいました。
↑このシーン、役替わりでいろんな人で見たいっっ!!
これ朗読劇なんです。
演者4人の!!
さっきも書いたけど、たった4人の朗読劇。上記シーンなんて石田さんと竹下さんの2人御場面。
それなのに光景がありありと目に浮かぶのってすごくないですかね?!
また、石田さん自身が最後のあいさつで言ってましたが、生演奏のおかげでより演じやすくなっていたようでした。確かに音楽に煽られフォローされ、より感情が表にでて、聞いている観客が舞台に引き込まれる、というのはすごくありますね。
続く