百年法 山田宗樹 | [ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]

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不老不死が達成されかけている世界。

ヒト不老化技術(human-ageless-virus inoculation:HAVI)を受ければ、老いず、怪我や病気に罹らなければ死ぬこともない。

 

 

パラレルワールドの日本には、原子爆弾が6発落とされた。

都市部は壊滅し天皇制は廃され共和制になった日本。

そんな日本にもたらされたのがアメリカで開発されたHAVIだった。

HAVIによって若さを保つことができた日本人は若い活力で復興し世界第2位の経済大国にまで上り詰める。

 

しかし、やがて停滞の澱んだ時代が訪れるようになる。

 

見かけは若くとも中身は老人。

心まで若々しくはいられない。

 

国家を滅亡させないようにするためには新陳代謝が必要となる。

形骸化していた「百年法」(HAVIをうけてから100年で命の期限)を実行せねばならない。

 

だが、何年生きようと命の期限がせまってくれば冷静ではいられない。

 

死にたくない。

かといって命の終わりがみえないのもおそろしい。

 

永遠の命があるなら、それに人は耐えられるのか?

SFで何度も語られたテーマ。

 

それと並行して語られるのは「国家」

自分の国、日本という国のあり方だ。

 

自分だけが良ければいいのか?

 

例外的特権を乱発して腐っていく。

法の網の目をかいくぐって(拒否者)腐っていく。

幻想(阿那谷童人)をまつりあげて腐っていく。

 

 

高邁な理想も地位と時間によって腐っていく。

 

 

それでも腐らないものはある。

あるはずだ、という希望。

 

 

 

 

ありがちなテーマに使い古された言い回しが陳腐だと思う瞬間もあったし、愛国的描写が暑苦しく感じることもあった。

 

キャラクターの人物造形がブレるのも気になった。

見かけは若いのに精神が老化しているっていう設定だったはずなのに恋しちゃったり。なんだ、子ども産めるんかーい。

(老いないせいで)人間的成長がなく幼稚だと思わせたいのか、しっかり考えていると思わせたいのか。

コナンくんと逆コナンくん大発生。

 

一般民衆が愚民すぎるし、日本以外の国がほとんど登場しないで日本以外が順風満帆のような描かれ方なのにも違和感がある。

HAVIの始末のつけ方も(またそれか)というありがちさ。

(16年のタイムリミットはいくらなんでもトンデモ設定じゃないですかね…)

 

 

 

ケチをつけたくなる箇所はいくつもあったけれど、怒涛の勢いに圧倒されて読了した。

 

それに、なんだかんだ言っても、ベタな設定ですすめてベタなオチをつけるのって好きなんだよね。王道大好き。

 

熱血官僚、落ちた巨星、市井の民の生きざま、国家。

それらをダイナミックにときには仔細に描く筆致はお見事。

 

こまけーことはいいんだよ、って気分。

熱い情熱がふっとばす。

 

 

設定の破綻? 面白ければそれでよし!

(車田イズム)

 

高齢化少子化政治腐敗国力低下…と現実の問題と重なる部分が大きく、安楽死センターのシステムは実現してもいいんじゃないかと思った。

学力能力全部低空飛行の一般人のためのユニオンも良さそう。職場の変更は半年か1年おきくらいにしないと仕事を覚えられなさそうではある。

 

 

 

 

 

 
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家庭なら10年後、国家なら100年後の計画はたてたいもの。
 

 

 

 


 




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