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2004年のウォルフガング・ペーターゼン監督の「トロイ」のヘレン役で、ダイアン・クルーガーさんを知りました。

モデル出身でギリシャ神話のアフロディーテのような完璧なビジュアルでした。

 

でも、どこか影があり、ただ美しいだけのお人形さんとは違うプレゼンスを感じました。

彼女は映画「トロイ」のヘレン役をつかんだ時に、オーディションで業界特有の不適切で不快な、トラウマ的な体験をされたらしいです。

 

彼女がドイツ人だったことを「女は二度決断する」という映画で初めて知りました。

おとぎ話のようなハリウッド映画ではなく、母国語のドイツ語で、実話から生まれた社会問題がテーマのこの作品を彼女が選んだことに、力強いメッセージを感じました。ドイツ警察の戦後最大の失態と言われている事件を元に作られたそうです。

 

ドイツは死刑制度がなく、裁判で有罪になっても、「無期懲役」らしいです。

 

重たい内容の映画ですが、何の罪もない人達が、犠牲になっても、加害者を法律で裁けず、

被害者側が泣き寝入りさせらることが多い現実に、この映画を見て激しく共感しました。

 

救いのない最悪な結末でしたが、ダイアン・クルーガーさんの演技に終始釘付けで、目が離せませんでした。

 

「女は二度決断する」

 

 

 

家族を失った喪失感でバスタブでリストカットして一度は命を絶とうとした主人公ですが、

意識が朦朧として行く中で、友人から「家族を殺害した犯人が見つかった」という留守電メッセージを聞きます。
 
主人公は家族を奪った犯罪者と対決するまでは、まだ命を絶つときではないと決意し立ち上がります。
 
しかし、裁判で犯罪者が「100%黒」にも関わらず、敏腕弁護士が相手側についたため、
十分な証拠がない理由で主人公は裁判で負けてしまいます。
 
法律で裁けないならば、自らの手で制裁をくだそうと主人公は決断し行動します。
 
そんな時に、一度は死を決意し、立ち上がったにもかかわらず、その時に湧いてきたエネルギーで、
心は死んでいるのに、希望は見えないのに、身体だけはまだ生きのびようとしている矛盾を彼女は感じます。
 
絶望しどん底の淵に立たされ、放心状態でずっと止まっていた生理が主人公に訪れます。
その真っ赤な血を見た時に、主人公の気持ちが変わります。
 
閉経すると女性は子供を産めない右矢印子供を産まなくてはいけない使命やプレッシャーを感じなくなる。
 
生理が来る右矢印妊娠、出産できる右矢印子供を産まなきゃいけない右矢印生きている限り生理が来る右矢印亡くなった子供を思い出す負のスパイラルから解放されない右矢印自分も天国へいる愛する子供のいるところへ行くことを決断する!
 
この災難と事件が時間と共に風化して人々に忘れ去られてしまうこと、
最愛の息子とパートナーを失ったのに、身体だけは衝動に突き動かされて生存本能が働いてしまっていることに、
主人公は耐えられなくなったんだと思います。
 
重い映画ですが、世の矛盾や不条理を訴えてきて心に強く響くものがありました。