胡蝶の夢 | RIDDLE CRITIC

胡蝶の夢







著者: 司馬 遼太郎
タイトル: 胡蝶の夢 (第2巻)

江戸時代の社会の基盤となっていたもの、それは異常なまでに細分化された身分制度と、他国との接触を一切絶ち刺激や変化をもたらさないようにする鎖国主義でした。そんな江戸時代の医学界で主流にあったのは、漢方医学。医学と呼べるほど体系的にも成立していない未熟な医療に、疑問を持ったのは松本良順でした。彼は蘭学を学ぶことによって、患者の平等治療という医学の本質に気付き、日本の医学界においても理論的な西洋医学を敷衍するよう躍動します。しかしそうした思想は、身分制度を崩壊させる危険を孕んでいたため、多くの障害が彼の前に立ちはだかるのでした。

幕末の動乱期を、医者という特異な観点から描いた本作。当時の日本医学を俯瞰するだけでなく、幕府崩壊の一端を明確に顕した作品といえるでしょう。