24人のビリー・ミリガン | RIDDLE CRITIC

24人のビリー・ミリガン






著者: ダニエル キイス, Daniel Keyes, 堀内 静子
タイトル: 24人のビリー・ミリガン〈上〉

1977年12月、オハイオ州立大学医学部周辺では物々しい警備が布かれていました。それというのも” キャンパス強姦魔”と名付けられた犯人による、連続強姦事件が発生していたためです。警察の必死の捜査により、ついに一人の容疑者が逮捕されます。犯人の名は、ビリー・ミリガン。彼の自宅からは、犯行に使われたと思われる拳銃や被害者の物品が発見され、彼の犯行であることは明白でした。しかし、ビリーの担当弁護士となったジュディ・スティーブンスンは、接見を通して彼の異常性に気付きます。裁判を受けられる能力に疑問を持った彼女は、精神科医に診断を委託します。その結果明らかになったのはビリーを基本人格とする、23もの別人格の存在でした…
ビリー・ミリガン:26歳。基本人格
アーサー:22歳。イギリス人の合理主義者
レイゲン・ヴァダスコヴィニチ:23歳。憎悪の管理者
アレン:18歳。口先の上手い肖像画描き
トミー:16歳。縄抜けの名人。喧嘩っ早い
ダニー:14歳。静物画描き。怯えている
デイヴィッド:8歳。苦痛の管理者
クリスティーン:3歳。隅の子供。失読症
クリストファー:13歳。クリスティーンの兄
アダラナ:19歳。レズビアン
フィリップ:20歳。軽犯罪癖あり
ケヴィン:20歳。強盗計画を立案した
ウォルター:22歳。オーストラリア人
エイプリル:19歳。復讐に燃えるあばずれ
サミュエル:18歳。正統派ユダヤ教徒
マーク:16歳。自主性のない働き者
スティーヴ:21歳。常に人を嘲る
リー:20歳。悪ふざけを好む
ジェイスン:13歳。癇癪を起こす”安全弁”
ロバート(ボビー):17歳。夢想家
ショーン:4歳。耳が不自由
マーティン:19歳。俗物のニューヨークっ子
ティモシー:15歳。花屋につとめる
教師:26歳。別人格を全統合した人格


にわかには信じがたい驚愕の事実の連続。しかし著者キイスの、客観的で詳細な聞き込みや踏査によって切々と書かれた文章を読んでいると、信じざるを得なくなっている自分に気付かされました。多重人格という病気との闘い、そして多重人格を信じようとしない社会との闘い。ビリーを取り巻く残酷な現実には、胸を塞がれる思いにさせられます。読了するのに精神的な体力が必要な小説ですが、多重人格の実情を知る上で、本作ほど意義のある作品は無いと思います。