功名が辻

著者: 司馬 遼太郎
タイトル: 功名が辻 1 (1)
群雄割拠、下克上が当たり前の戦国時代。弱肉強食の世界であることを痛烈に認識し、行動に移していった織田信長の家中に、山内伊右衛門という者がいました。そう、彼こそは後年の土佐の大名、山内一豊です。幕末における四賢候の一人、山内容堂の先祖でもあります。しかし、伊右衛門には容堂のような英雄然とした風貌も教養もありませんでした。ただ戦国時代の武士が誰しも持っていた功名心だけは、人一倍持っていました。そんな伊右衛門に嫁いで来た、美濃の娘若宮千代。伊右衛門の魅力に強く魅かれた千代は、夫を一国の太守にしてあげようと決心します。自分の能力に自信がない伊右衛門を、時に励まし、時に厳しく接したりしながら、彼の成長を促す千代。彼女の甲斐甲斐しい努力によって、伊右衛門は牛歩ながらも着実に功名を遂げていきます。
信長、秀吉、家康と国内の権力がめまぐるしく変転した時代に、時代の趨勢を読んで行動した伊右衛門と妻千代の立身出世の物語は、英雄譚的な華々しさはほとんど見られません。しかしそれだけに、庶民的な伊右衛門に対して親近感を覚えさせられます。わずか50石の武士という境遇から、24万石を抱える大名へと立身していく伊右衛門、まさに戦国時代を象徴するような人間像と言えるでしょう。