ハリーポッターと不死鳥の騎士団

著者: J. K. ローリング, J. K. Rowling, 松岡 佑子
タイトル: ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻
類稀なる勇気と行動力で、絶望の淵から生還したハリー。しかし、ついにヴォルデモートは甦ってしまいました。夏休みに入りプリベット通りのダーズリー家に戻ったハリーでしたが、いつヴォルデモートが行動を起こすのかと気が気ではありません。さらにハリーの鬱屈に拍車をかけているのは、魔法界の友人・知人の誰もが具体的な動向について知らせてくれないこと。多分に運の要素があるとはいえ、これまで4度もヴォルデモートと闘い生き延びてきた、という自負があるだけに、ハリーの苦悩は深刻でした。そんなある日、ハリーは溜まりに溜まった鬱憤の捌け口をダドリーに求めます。互いに剣呑な状況に陥ってしまいますが、そこに突然現れたのは”吸魂鬼ディメンター” 。2年前に習得した守護霊の魔法によって事態を打開したハリーでしたが、なぜ吸魂鬼がここにいるのか、さらに悩みの種が一つ増えることになるのでした。
ハリーの苦悩が限界を越えつつあった頃、ようやく魔法界からの使いが訪れます。やって来たのはルーピン、マッド・アイ・ムーディなど知己を含めた9人の魔法使い。彼らの誘いによって、ハリーはヴォルデモートに対する抵抗組織”不死鳥の騎士団”本部に向かいます。ようやく魔法界と接触を持つことができたハリー。これで自分も騎士団の活動に参画できる、と意気込むハリーでしたが、騎士団のメンバーは何も語ってくれません。ダンブルドアさえも自分に目を向けてくれないことに意気消沈したハリーは、不安と苛立ちを募らせたまま新学期を迎えるのでした。
第5巻を読んで、前4作とはかなり様変わりした印象を受けました。具体的に明示はできないんですが、これまでのような夢と希望に溢れたファンタジーを期待するなら、あまりお勧めはできないかもしれません。若さゆえの反抗心、自分の存在に対する疑問、そして儚い恋、思春期を迎えたハリーは、もはや純粋で真っ正直な少年ではありません。良くも悪くも大人へと着実に成長してゆくハリーの姿に、少々面食らってしまうことでしょう。しかし、全ては第6巻、第7巻へと繋がる伏線だと私は考えています。ハリーの出生の秘密が明かされる「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」。期待と不安を膨らませつつお読みください。