若い頃、少しの間でしたが書道教室に通っていました。入会して間なしの頃、道でばったり先輩に出会ったことがありました。その方は私よりうんと年上だったのですが、私を認めるとすぐに立ち止まり、私の方に向き直って丁寧に頭を下げてくださいました。若い私はびっくりして、そんなふうに頭を下げてもらうなんて申し訳ないと思い、負けないように深々と頭を下げました。字は上達しませんでしたが、あの先輩の美しいお辞儀は一生忘れません。