新聞紙の低彩度の色合い、いわゆる「くすみカラー」が好きです。新聞紙を貼っていると神経が休まり、リラックスして仕事が進みます。手だけ勝手に動いている感じ。脊柱反射かも。

 先日、施設に入所した叔母を訪ねて小さな旅をしてきました。JRで両親の故郷へ行くのは◯十年振りです。2回列車を乗り換えて、最後は2両編成のワンマン列車。降りる時は運転士さんのすぐ後のドアを自分で開けて降ります。駅は当然無人駅。誰もいない待合室。

 その待合室で私は、タイムスリップしたような気分になりました。子どもの頃は毎年来ていたので覚えているのですが、当時と同じ丸い窓と、婦人会の人たちの「生け花コーナー」がそのまま残っていたからです。写真に撮ると、昭和レトロなセピア色。窓から見える風景は水彩画のようです。

 町の様子はすっかり変わってしまったけれど、無人駅にも花を飾るなんて、両親の故郷は優しい、やさしい町なのです。