夫を見ると、涙を流していた。「どうした?痛い?辛いの?」ガーゼで涙を拭いた。
少し黄色い涙だった。(薬の影響かもしれない)
医学的には、そういう時に出る涙は、身体の中の○○が△△で…みたいなのはあるのかもしれないが、私は、今思えば、「死にたくない」「さようなら」の最後の涙だったのだと思っている。
私が生きていて欲しいと思う以上に、夫は生きたかったんじゃないか…と思っている。
深夜の病室、夫のつけている酸素吸入器の規則的なシュー、ポン、シュー、ポンの音、心電図の緑色の文字の光、別の病室から聞こえているアラームの音、今でもこんなに鮮明に覚えている。
私と夫、2人で過ごした最後の夜だった。