夜中、固定電話が鳴った。

怖い。電話に出るのが怖い。

嫌な知らせだったら…最悪の事態だったら…


身体が固まる。


震える手、震える身体で受話器をあげた。

「もしもし…」電話は父からだった。

父は涙声だった。「あぁ…お兄ちゃんダメだったんだ…」落胆した。


父は「R(私)、お兄ちゃんなぁ、お兄ちゃんなぁ、…………一命を取り留めたよ。」

医師からは奇跡だと言われたと。


翌日の朝刊に兄の事故は載った。

その新聞に「意識不明の重体」と書かれていた。


今でも、事故で意識不明の重体というニュースを見る度に、事故に遭われた方のご家族は、この時の私と同じような状況に置かれているのだろうか…と思います。

一命は取り留めたものの、まだ予断を許さない状況。

父と母はずっと病院に泊まりつきっきりでしたので、私は一人暮らしのような生活でした。


学校に登校した私は、周りの子から「お兄ちゃん、大丈夫?」と聞かれて、すごく嫌だった記憶があります。


「大丈夫だよ。きっと良くなるよ」と言ってきた子には、励ましだとわかっても怒りを覚えました。

簡単に大丈夫なんて言わないで欲しい。


一命は取り留めた…この事に本当に良かったと思ったけれど、それでめでたしめでたしとなるような話ではありません。この事は夫が倒れた時もそうだと思いました。奇跡的に意識が戻って、リハビリまで辿り着けたとしても、そこからが本当の意味での闘いだなと。





カラーレギンス大好きです。

あの色もこの色も欲しくなる。