夫の2番目の兄の嫁はアメリカ人。名付けてハートの女王。
不思議の国のアリスに登場するあの女王。わが家で密かに命名した。
義姉はいわゆる典型的なアメリカ人女性。
この意味、わかる人にはわかると思う・・・
要するに、一日中「男女平等」とか「女性の権利」とか「女性の出世」とか言っている、またはそれを態度に出しているタイプなのです。そして、毎日、自衛のためだからと豪語してピストルをハンドバッグに忍ばせて会社へ通勤しているのです。
それはともかく。
女王だからか、一回も料理をしたことがない。これは筋金入りである。
外食もしくはチンチン(電子レンジ)フードのみ。
結婚して10年以上子どもがいなかった生活を送っていて、いわゆるDINKS (Double Income No Kids)だから、そうやってこれたのかもしれないけど。
私がアメリカで生活していたときは、朝マック(マクドナルド)が、9セント。
アメリカの朝マックは、好きなハンバーガーにドリンクが付いてくる。これで1ドルしない。だから、義兄は毎朝それを出勤前に食べさせられていた。
そんな義兄が、ある土曜日、突然私たちのアパートに一人でやって来た。
私は、なかなか勘がいい。
ーこの人は家庭の味に飢えている。
そこで、日本米と昨夜の残りのハヤシライスに小さなサラダを添えて出した。
「美味しい!!これ何の肉?!どうやって作るの?!どこで買ったの?!」
子どものようなはしゃぎっぷり。
「牛肉ですけど。インスタントのルーですけど。コストコですけど。誰でも作れますけど。あなたのハニー以外はね」
「あっ、そうだね〜。僕のハニーは責任ある職に就いていて忙しいからね〜。料理なんかしないよ〜」
「へえ、なるほどね〜」
「僕のハニーはRicoみたいに暇じゃないんだよ。来週も来ていいかな。こんどは日本食が食べたいな〜」
—ご冗談でしょ。