<発想の航跡 神田橋條治著作集:「葛藤」についてのエッセイより)
精神分析療法の治癒像は、
①不幸せに際し、即座に葛藤図式を作れる。
②対立する二つの力のそれぞれの力を支えている正当な事情を分かっている。
③生身の苦しみの実感をともなう「正常な葛藤」を維持できる。
④二者択一や妥協による解決をしたさい、未練を意識し続けることができる。
つまるところ、情緒と認識とのバランスよく悩みを悩みうる人、ということになる。
「正常な葛藤」を作り維持し続ける主体、悩みを悩みうる主体は、生身の苦しみの実感によって葛藤と連なっているとはいえ、「葛藤」図式を作り維持していくことによって、少しばかり葛藤から離れた精神活動でもある。精神分析療法の目指すところは、この主体の活動の強化である。
フロイトは精神分析の目標を「神経症的不幸を幸福へと転換することではなく、正常な不幸へと転換することである」とみなしていた。