DASEIN 3rd ALBUM 

「唯、此処に在る事が愛しくて」

 

<Rickyによるセルフラーナーノーツ>

 

 

 

【再生-prologue-】

宇宙空間を彷徨うような浮遊感のあるシンセストリングス、そこにピアノの旋律が命の息吹を与え、JOEのドラムフィルが少しずつ丁寧かつエモーショナルにあの頃のDASEINの世界を構築し、再生していく。そしてついに僕らはあの頃の未来へと…辿り着く。

 

 

 

 

【唯、此処に在る事が愛しくて】

DASEINの世界(ライブ)が一気に開けるようなサビのメロディーから始まり、JOEのツーバスが畳み掛け、DASEINの歌詞の特徴でもある百人一首を用いた叙情的なAメロへと突入する。君が生きていて、僕が生きていてこそ始まる今、僕の想いと君の想いが一つになって作り出すライブ。今この瞬間に「共に」存在していられる事が何よりも愛しいのである。

 

 

 

 

【運命AUTOMATIC】

トランシーなシーケンスからJOEのドラムが炸裂するDASEINの王道ナンバー。運命に翻弄されながらも、自らその運命を無意識にコントロールし、誰かと出会い、別れ、求め合いながら生きてゆく。そのすべての出来事がオートマティックであるかのように…。

 

 

 

 

【真夜中のエレジー】

2010年の復活後初のシングル曲。解散前に制作していたデモ楽曲の中で、JOEとRickyが最も次のシングルに相応しいと思っていたお気に入りの一曲。愛する人を失ったあとの苦悩に満ちた想いを、真夜中の孤独の中で綴った哀歌。

 

 

 

 

【リフレイン~ありふれた奇跡~】

いつもそこにあるもの、当たり前にそばにいる人、同じような毎日、そんな身近なありふれた出来事が本当は素晴らしく、実は自分を支えてくれているのだ。その当たり前という普段気づかないような目に見えない奇跡の繰り返しで僕らは生かされている。この奇跡の中で出会えた大切な君に、僕は一体何ができるだろうか…

 

 

 

 

【未練】

復活後の2ndシングル。DASEIN初期のサウンドを手がけていたアレンジャー樫原伸彦氏による「これぞあの頃のDASEIN」というダンスチューン。真夜中のエレジー同様、失恋により前に進めない心情を【未練】という言葉で表現している。ライブでは「幸せの黄色いハンカチ」ならぬ「未練の赤いハンカチ」を使用。

 

 

 

 

【無情の雨】

解散前に書き溜めてあった楽曲の中でも、事あるごとに「これを早く音源化したい」と懇願して止まなかったJOEイチ押しのマイナーロックチューン。ちなみにJOEのお気に入りだったデモのサビメロディーは、今回の音源化にあたりRickyが完全なる別メロディーに書き換えている(JOE納得済みw)。歌詞では百人一首をモチーフに物語を描き、サビ終わりの変拍子が雨のざわめきを表現している。

 

 

 

 

【BREAK←SHAKE→BRAIN】

Rickyがアマチュア時代「天羽(amou)」というユニットで活動していた頃の楽曲をリアレンジした作品。のちにこの曲を収録したデモテープがJOEの手に渡り、中でもこの曲のRickyの声とメロディーセンスに心奪われ、二人はめでたくゴールイン♡DASEINが誕生したのはこの楽曲のおかげと言っても決して過言ではない。ゲストギターにex:ViViDのRENO氏を起用。DASEINでは斬新なアプローチでエモなギターロックチューンに仕上がっている。

 

 

 

 

【人類 is 皆 ヒューマン】

DASEIN解散前にRickyが次のアルバムの一曲目用として制作していた作品。結果的に今アルバムの一曲目にはならなかったが、出だしのオープニング感はRickyのお気に入り。ファンキーなビートと軽快なメロディーに、人間の一生なんて中身はどうであれ結局は「生まれて死ぬだけ」という開き直りに満ちた歌詞を乗せたRickyなりのポジティブ応援ソング(笑)

 

 

 

 

【君の街に降れるオリオン】

復活後の3rdシングル。遠距離恋愛をイメージして歌詞を書いたというRickyに遠恋の経験はないらしい。すなわち彼の妄想爆裂ソング。Rickyいわく、いつもライブでしか会えないファンのみんなが普段は何をしているのかなー?と想像しながら作ったとか。ライブでは光る指輪(オリオンリング)を使用。サビのゆったりとしたメロディーに合わせオーディエンスと両手を左右に振りながら星空を作り出す演出が一体感を生み出している。

 

 

 

 

【Do NoT TENdER!?】

4thシングル「COGITO ERGO SUM」に収録。復活後に書き下ろした数少ない中の一曲。イントロシンセのトリッキーなリードフレーズが曲の世界観を作り出す。正直者や弱者がバカを見る出来事や、昨今のメディアやネット情報に簡単に流されてしまう風潮を皮肉った歌詞とは裏腹に、ファンの可愛こぶる姿が見たくてつけたというイントロの振りや、サビでのいわゆるモッシュという横移動はもはやライブの定番。

 

 

 

 

【ワラウンダーランド】

解散前のデモ楽曲の中では一番未完成であったが、今回のリアレンジによりアルバムで最も明るく元気になれる曲に仕上がっている。ワラウンダーランドとはDASEINのライブ空間を表していて、そこに入国したからにはとにかく笑顔で楽しもうというお気楽パーティーチューン。「もう誰も止められない」というフレーズが随所に現れるが、デモ段階での仮歌詞をそのまま採用。一体何が止められないのかは当時の自分に聞いてみないとわからないが、このフレーズがこの曲を支配しているという事は間違いない(笑)

 

 

 

 

【大切な人へ】

過去デモ曲の中で最も劇的な変化と進化を遂げたアルバム唯一の壮大なラブソング。このアルバムを完成させるまでの間に一体どれだけの出会いと別れ、生と死の物語があっただろう。この現実の世界で僕らは紛れもなく誰かの力によって支えられている。そしてその誰かはさりげなく心のそばに寄り添ってくれていて、決して特別ではない人だったりもする。僕らはそんな大切な人がそばにいてくれる事に気付けているだろうか?その人にちゃんと感謝を伝えられているだろうか…曲ラストのメッセージには、これまでDASEINを支えてくれた全ての人たちへの愛と感謝が込められている。ちなみに冒頭&ラストの雑踏は…わたくしRickyの足音を自ら録音したものである。これにより自分が「生きている証」と「生きた証」を本作品に残せたような気がしている。

 

 

 

 

【COGITO ERGO SUM-コギトエルゴスム-】

復活後の最新シングル曲。復活後の懐かしいDASEINから未来を目指す新しいDASEINへと生まれ変わるために書き下ろされた楽曲。この曲が生まれた2015年頃よりアルバムリリースを意識し始め、EDM的サウンドアプローチと「COGITO ERGO SUM(我思う、ゆえに我あり)」という哲学用語より広げた歌詞でコンセプチュアルな世界観を創り上げている。この曲からDASEINの新たな未来が始まるという意味も含めアルバムラストに位置付けられている。

 

 

 

 

【新生-epilogue-】

COGITO ERGO SUMの延長線上で、もとはライブのオープニングSE用に制作されたインスト曲。スペーシーで無重力的なシーケンストラックに重なるようにドラムのキックが時を刻み始め、まるで宇宙ロケット発射へのカウントダウンのような高揚感が漂う。効果音的に散りばめられたギターやピアノがコズミックな空間と壮大な未来を予感させ、徐々に期待と希望と感情を高めていき、Rickyの幾重にも重ねられたコーラスが新生DASEINの世界へと誘う。最後は未知のゲートに吸い込まれるかのように、我々DASEINはあの頃の未来、そして次の未来へと旅立つのである。