皆さん「剥製師」という職業をご存知でしょうか?
はくせいし?
多くの方にとっては聞き慣れない言葉かもしれませんが、読んで字のごとく剥製を作る人のことです。
剥製は博物館などで目にすることができますが、どうやって作られているのだろうと気になったことはありませんか?
\皮剥いで綿詰めるだけだろ?/
確かに大まかな作り方は仰る通りなのですが、実は作るのがとっても大変なんです💦
私のブログでは普段から魚や甲殻類の剥製の作り方を投稿しているのですが、今回「意外と技術が要ること」というハッシュタグを見つけたので、この機会に改めてどうやって剥製を作っているのか剥製師の日常をご紹介できればと思います。
まずは魚を用意します。
今回は友人が釣った魚を提供してくれましたが、普段はスーパーで買ってくることが多いです。
魚の形を見ながら、剥製の中に詰める芯材を作ります。
素材はポリスチレンフォームです。
カッターナイフやサンドペーパー等を使って、魚とぴったり同じサイズに削り出します。
ベテランの剥製師さんはちゃちゃっと作られるみたいですが、私はまだまだ未熟なので2~3時間くらいかかってしまいます💦
魚の皮を剥ぎ、ペラペラの皮一枚にします。(剥皮)
身が残っていたら腐敗やニオイの原因になりますので、しっかりと取り除きます。(除肉)
3~4時間くらいかかります。
芯材に皮を被せます。(整形)
この作業で剥製の仕上がりが決まるといっても過言ではないので、ヒレの形や頭の形を時間をかけて整えます。
5~6時間くらいかかります。
十分に乾燥させたらこんな感じになります。
だいたい一週間くらいで乾燥します。
続いては眼玉の制作です。
剥製用の義眼屋さんからガラス製の眼玉レンズを購入し、
レンズの裏側から色を塗ります。
レジンで自作することもあるのですが、時間が経つと黄色く変色してしまうので、ガラス製が一番安心です。
眼玉を本体に取り付け、乾燥して収縮してしまった箇所はパテで修復します。
特に顔の周辺はシワや窪みができやすいので、しっかりと修正します。
やっているのは造形師さんと同じようなことかもしれません。
これでやっと下準備が終了。
獣や鳥の剥製と違って魚や甲殻類は乾燥させていく段階で体の色が褪せてしまうので、絵の具で塗装して再現しなければいけません。
ということで、ここからさらに手間暇かけてかけて生きているときの姿に近づけていきます。
このままダイレクトに塗装するとパテの部分だけが目立ってしまうので、
パテで修正した部分が目立たないように下塗りします。
これでようやく塗装ができます。
魚の写真を見ながら色を塗ります。(塗装)
8~10時間くらいかかります。
最後に艶出しコーティングをして完成です。
ペラペラの皮一枚が魚へと蘇りました!
と、こんな感じで作品が一つ完成するまでに果てしなく長い工程があるんです。
削り出し(ほぼ彫刻)、剥皮、除肉、整形、(パテでの)造形、塗装・・・と様々なジャンルの技術が必要なので、それぞれの技術に慣れるまでにも時間がかかります。
これまで16年剥製を作り続けてきましたが、作品を作るたびにまだまだ未熟だと痛感させられています。
皆さんもこれは「意外と技術が要ること」と感じられたのではないでしょうか?
今後剥製を目にする機会がありましたら、スポットライトを浴びて輝いている剥製たちの裏で脚光を浴びることなく人知れず剥製を作っている剥製師さんたちの苦労に思いを馳せていただけますと幸いです。