石川県漁業協同組合(JFいしかわ)様より「輝姫」というブランド香箱ガニの剥製制作のご依頼をいただきました。

 

香箱(こうばこ)ガニとは何ぞや?

と思われる方もおられるかもしれませんが、石川県で獲れるメスのズワイガニのことで、地域によってセコガニ(兵庫、鳥取)、セイコガニ(福井)、コッペガニ(京都)などと呼び名が違うそうです。

 

金沢沖で捕獲され水族館で飼育されていたとのことですが、亡くなってしまったので剥製にして残そうという話になり、巡り巡って我が家にやってきました。

 

 

送られてきた個体がこちら↓

でかっ!

 

脚を広げると35㎝ほどあるでしょうか。

ぱっと見小振りなオスといった印象です。

 

メスのズワイガニなので小さいだろう(ズワイガニのオスは脱皮を繰り返して大きくなるのに対し、メスは卵を産めるようになると脱皮しなくなるので小さいままなのです)とナメてかかっていましたが、思っていた以上に大きくてビックリです!

 

ズワイガニは何度か制作経験があるので制作自体は問題ないのですが、この個体に関しては一つ難点が・・・。

 

どうやら身が腐っているみたいで

めちゃくちゃクサい🤧

 

今回は腐敗臭との闘いになりそうですが、引き受けた以上は完成させられるように頑張ります。

 

 

それでは制作奮闘記の始まり始まり~。

 

 

 

 

 

まずはボイル。

少しでも腐敗臭軽減になるかと期待していましたが、家中に腐敗臭が充満して逆効果😖

鍋にもニオイが染みついてもう料理用には使えないかもしれません。

当然のことながら家族はブチギレですが、これは文句を言われても仕方ない案件でしょう😓

 

画像では美味しそうにしか見えないのが皮肉すぎます😭

 

 

 

 

 

続いて除肉。

どうです、美味しそうな身でしょ?

実際は頭が痛くなるくらいクサいんです🤧

ニオイまでお伝えできないのが残念でなりません(笑)

 

 

ただ今回は殻の中に肉片が残らないように完璧なまでに除肉できました。

15年以上剥製を作ってきましたが、こんなに上手く除肉できたのは初めてかもしれません。

少しでも腐敗臭が軽減してくれることを願います。

 

 

 

 

 

殻を組み直し、ポーズを整えて乾燥させます。

 

 

 

 

 

放置すること一週間・・・

 

 

 

 

 

なかなかいい感じに乾燥してくれました。

 

そしてなんとなんと

気になっていた腐敗臭もかなり軽減されました。

 

「ズワイガニ ほのかに香る 腐敗臭」

 

って感じですかね(笑)

 

完全にニオイが消えたわけではありませんが、かなり作業しやすくなりました。

どうやら除肉の効果があったようです。

 

 

 

 

 

先方がハサミの先端が欠損しているのが気になるということだったので、欠損箇所をパテで復元。

パテでの復元作業が剥製作りの中で一番苦手なのでこれだけの作業に2時間もかかってしまいましたが、これで下準備が整ったのでやっと塗装できます。

 

 

 

 

 

 

まずは裏側を塗装。

 

 

 

続いて表側も。

 

この状態で先方に確認していただいたところOKをいただきましたので、

 

 

 

 

 

コーティングして完成です!

 

ニオイの問題こそありましたが、剥製自体はトラブルなく順調に完成させることができて良かったです。

先方にも無事に届き、期待通りのクオリティだとのお言葉をいただき、ようやく重い肩の荷が下りました。

私のような無名の素人に制作をお任せくださったこと心より御礼申し上げます。

 

 

 

 

 

ちなみに今さらながら「輝姫」について調べてみました。

ずっと「てるひめ」だと思っていたのですが、「かがやきひめ」と読むそうで、厳選された基準をクリアした最高級ブランドガニだそうです。

 

腕についているタグも九谷焼という超VIP待遇です。

 

そんな一級品の制作に携わらせていただいていたとは全く知らず今になって身震いが・・・。

散々クサいと文句ばかり言って申し訳ございませんでした🙇

 

 

 

2023年7月にご依頼をいただき、完成し先方にお送りしたのが2023年12月。

2024年の年明けに発生した能登半島地震を乗り越え、現在は石川県漁協の受付嬢としてお客様をお出迎えしているとのこと非常に勇気付けられます。

これからも漁協のアイドルとして末永く活躍してくれることを願っています。